その日の朝は、とてもさわやかな朝だった。
そのまま駐車場に行くのを止めて、集会場東側の森の小路を散策しながら会社に行こうと、森の小路に足を向けたら、おばあちゃんと手をつないで二歳くらいのボーヤがやって来た。
私は、ボーヤが通り過ぎるのを待とうとしたが、ボーヤは私の姿を見るなりおばあちゃんの後ろに隠れて動こうとしない。
私は、ほほえましくしばらく待ったが、ボーヤは動こうとせず、私に興味を示しはじめたので、私の方から近づいていった。ボーヤ、もうセミはいなくなったね。というと、さらにおばあちゃんにしがみついて、動こうとしない。しかし私が気になっている視線を送ってくる。 
ボーヤ、その石ころをとってごらん。と誘った。が、ボーヤは石ころを見ようとするが、まだ不信顔。
私が石ころを取った。ほらボーヤ、アリさんがいるよ。
ボーヤは知らぬ間に私の横に来て、アッ、ちいさいアリさん!と私に声をかけてくれた。
私は夢中になってアリさんの動きをボーヤに見せてあげたく、アリさんがボーヤの方に行くように導いた。
アリさん!こっちに来て!ボーヤも夢中になってくれた。 
私と友だちになってくれたんだ!
私とボーヤを見守っていたおばあちゃんが、この子は人見知りが激しいのに!
この子の名前はリョウヘイです、と云ってくれたのだが、私はアリさんに夢中になっているボーヤが気になっており、ボーヤの名前をきちんと聞き取ることなく、二歳のボーヤが何か言いかけてくれるのを待った。 
アリさん!と何度も言ってくれた。
今度は、コオロギを見つけようね、とボーヤの手を取って私は立ち上がった。
あの、あそこに穴が開いているのは、何ですか?とおばあちゃんが聞いてきた。あれは、セミが出てきた穴です。
そうですか!ママ、その穴はセミが出てきた穴ですって。
小路の向こうからボーヤのお母さんが、ヨチヨチ歩きの弟さんを連れてやってきた。そのママにおばあちゃんが声をかけた。 
じゃあボーヤ、おじさん行ってくるからね。あの、お名前は?
ボーヤと友だちになれて、嬉しいです。ありがとう!

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