ハイムのひろば文芸館で「ワインで乾杯!」の記事を読ませていただきました。フランスでは、昔は幼子にも薄めて飲ませたものだという件はまさに文化の違いを感じました。小さい頃、赤玉ポートワインをこっそり盗み飲みしたのはよかったものの、顔が真っ赤になってすぐにばれたという思い出があります。

もうひとつ、ボトルが空に近づいたとき、「あなたに幸せを!」と言って最後の一滴を相手のグラスに注ぐという話。日本にも「残り物に福あり!」と言う言葉がありますが、ワインの方が何だか洒落ている感じです。「これでお終い!」と宣言しているのは同じですね。

私は、ワインが好きで毎日のように飲んでいます。酒に強いわけでもなく所謂酒飲みではありませんが、仕事(原料)の関係で酒造メーカーには何度も訪れたことがあり自然と興味を持つようになりました。国産の酒造メーカーはもちろんのこと、輸入ワインを取り扱う会社にも訪問を重ねるうちに技術者からいろいろな話を聞くことができました。

ただ、ワインに興味を持ったきっかけは、海外駐在していた時に出会った顧客の一人にワインに詳しい人がいたことです。日本から来られたお客さんをもてなす食事の場でワインについていろいろな話を聞きました。海辺のレストランだったので魚介類が主体の料理でしたが、実際にワインを合わせて飲みながらの解説は非常に興味深いものでした。

その人は、最初、知ったかぶりをして蘊蓄を語るウルサイおっさんかと思いましたが、次第にその知識は本格的なものであることがわかりました。話の中身に魅かれた私は、それ以来本を読んだり、試飲をしたり、ワイン販売店廻りをするようになりました。2年間で300本程ラベルの違うワインを飲みました。勿論安いものが中心ですが。

ワインと言えば、やはりフランス、イタリア、ドイツ、スペインなどヨーロッパの国が有名ですが、今や、南北アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、さらに中国でも急速に生産が伸びています。そして日本産のワインもようやく世界で評価が上ってきています。

ときどき、どんなワインがおすすめですかと聞かれることがあります。専門家でもないしただ好きなだけなので、大したことは言えませんが、そんな時は「チリワインを試してみませんか?」と答えます。理由は、安価で美味しくコストパフォーマンス抜群だからです。現地でローコストである他に価格差で大きな要素は輸入関税です。

EUからの輸入には15%(輸入価格の15%か125円/Lのうち低い方)の関税がかかるのに対し、チリなら現在1.2%で済みます。チリ産ワインは、2007年から漸減して2019年には撤廃され0になります。EU産ワインについても同様の動きが出ており、早ければ2019年に調印、即時撤廃の可能性もあります。

そして肝腎の製造技術については、歴史あるフランスで培われた技術がチリに移植されています。その昔、フィロキセラというブドウにつく害虫がヨーロッパ全土に蔓延してワイン製造が出来なくなった時に、仕事を失った技術者が大勢チリに移住しました。原料ブドウの産地として抜群の環境に高度なフランスの技術が加われば鬼に金棒だったわけです。

スーパーの売り場に並ぶ1000円以下のワインでも、海外からタンクで大量輸送されて日本で瓶詰めされたものと、チリ産のように現地で瓶詰めされたものの品質は全く違います。更に、24~48時間熟成されたもの(Reserve)は更におすすめだと思います。

よく聞かれる質問にもうひとつ「ワインは一度ボトルを開けたら全部飲まなきゃいけないの?」というのがあります。答えは、イエス、ノー両方あると言えます。ご存知の通り、食べ物でも飲み物でも味というものは、舌の味蕾で味わうだけでなく、鼻腔から嗅ぎ取る”香り”も重要な要素になっています。

何万円、何十万円、更には何百万円もするような高級ワイン、所謂ビンテージものには、長い年数をかけて貯蔵・熟成される間に閉じ込められたブーケ(塾成香)があります。ブーケも香りの一種ですが、ブドウそのものが持つアロマ(果実香)や、発酵、醸造によるアロマとは区別されます。グラスを少しだけ回して香りを嗅ぐシーンを見ることがありますが、あれがブーケを嗅いでいる姿です。

では、私たちが飲み残したワインの栓をして冷蔵庫に戻しておいてもいいのでしょうか?答えは「イエス」。デイリーワインとして飲むようなものであれば全然問題ないと思います。そうして2~3日経ったワインの味が利き分けられる方は、鋭敏な感覚を持ったソムリエになる可能性を秘めた人でしょう。

一方、年代物の高級ワインの場合、答えは「ノー」です。一度栓を抜くとブーケが飛んでしまうので、それを楽しむなら全部飲んでしまうべきです。どうしても飲めない場合は冷蔵庫に入れておけば腐りはしないでしょう。ブーケは諦めてアロマを楽しむだけなら大丈夫でしょう。尤も、そんなワインを飲む方は専用のワインセラーをお持ちでしょうが。

(以上、ワインの記事を読んで思った上記は全くのところ私の個人的な感想であり、何の保証もないことです。また、チリワイン関係者の回し者でも何でもないことをお断りしておきます。)

八咫烏

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