曙光・・・X氏のつぶやき105  

 凍てつく1月、多摩川の堤
 朝6時
 雨の日も、雪の日も
 老人は堤に立つ

 東の空が明けかけると
 老人は手を合わせて
 今日も健康であることを祈る

 東の空が更に色染めて
 京の舞妓さんのお化粧のように
 ほんのり紅さすと
 老人は深く頭を下げて祈る

 冷えきった川面は水気のもやが
 上空には渡り鳥が隊列をなして
 美しく飛んでくる
 次々飛んでくる

 何所からきたの?
 何処へ行くの?
 老人は見上げてつぶやいた

 東の空は更に紅くもえる
 きた!朝陽が登る!
 渡り鳥の群れはまたきた!
 ありがとう!来てくれたのね

 老人は涙した
 今日も鳥たちにあえた
 私も元気だよ、有り難う!

 朝陽は燃えるように
 激しくのぼった

 ああ!今日も元気をもらえた
 老人の一日が始まる

 河原に降りて
 鳥たちの朝の声を聴く
 白鷺はまだ眠っていた
 ごめんよ、おこして!

 朝日が雲に隠れた日も
 東の空に向かって手を会わせた
 曙光に出会うごとに
 老人の心の病は治った

 1月の凍てつく多摩川の朝
 小鳥も草木もハイムの人たちも
 幸せを願って太陽は登る

 老人の立たない日はなかった

 今朝は渡り鳥が元気に飛ぶ
 小鳥もさえずり合って
 友を呼ぶ!
 河原の石ころも輝く

 やがてハイムの人たちの朝だ
 早出の勤め人
 小学生が学校に 
 ヒヨドリがいってらっしゃいと鳴く

 部屋に戻った老人は
 太陽は今日も私のために輝いてくれた!とつぶやく

 明日も元気で多摩川に!

 

      1月16日早朝 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Optionally add an image (JPEG only)

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください