年の瀬に怒っている靴・・・X氏のつぶやき81

年末に玄関の下駄箱を片付けた。
履かなくなった皮靴が何足も眠っていた。

課長に昇進した時に買った靴、部長になった時に買ったペリカンの皮の靴も汚れたまま眠っていた。最近の靴は年寄りにも優しいといわれるジョギングシューズだけが大事にされている。

もう履かないから、と処分する袋に入れかけると古い靴が言った。
「ご主人様、何故昔のように履いてくれないのですか?あれほど毎日履いてくれたのにもうようはないのですか?」

ペリカンの靴が怒った!
「あれほど丁寧に磨いてくれて大事にされたのに今日はゴミ箱ですか!ご主人様の人生をともについてきた無言の従者です。雨の日も雪の日もペリカンの靴は水に強いのだと愛してくださったのに、何故履いてくれないのですか?ゴミにされるのはあまりにも辛いです。履いてくれないのならご主人様の邪魔にならないところに置いてください。これからもご主人さまの人生を見守っていたいのです」

声なき声が聞こえてきた。長年愛用した靴は紙くずのようには捨てられなかった。あれほど決心して整理するぞ!と決めていたのに!靴の怒りを感じたご主人様はペリカンの靴を履いて初詣にいくことにした。

靴にも初詣させてやろう!
と思うとどこかホッこらと豊かな気持ちなった。
だが、一方では何年も愛用した背広もお別れをしなくてはならない。捨てるといえば彼らは共闘して靴たちと怒るだろう。毎年闘ってきていつもご主人様が負けている。何故だろうか?彼らにかわって新しいものが入ってきた訳ではない。そりゃ少しはあるが決して粗末にはしていない!
わたしのせいではない。年のせいだ!

年の暮れに大掃除をする奥様がおられますが、その方の精神力を見習いたいものです。
そこで決心、今年は下駄箱で眠っている靴をどれだけ履いてあげられるか。そのためにも足腰が丈夫で健康でなくてはなりません!と願うのみです。靴のお怒りを収められたら元気な証でもありますと訳の分からなくなった年明けでした。ですが古い靴も下駄箱でピカピカ輝いてご主人様を待っています。靴たちに感謝。

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