光凝固・レーザー治療について

光凝固とは光のエネルギーを治療に利用したもので、光としてはレーザーを使用しています。このレーザーは、非常に小さい光を瞬間的に大量に出すことができ、以下のような病気の治療に利用されています。

1.網膜裂孔・網膜格子状変性
網膜に孔があいた場合や、孔の前段階である網膜の薄いところをレーザーで囲みます。いずれも網膜剥離の原因となるもので、早期に光凝固することにより剥離を予防できる可能性があります。

2.糖尿病網膜症
糖尿病網膜症は、糖尿病が原因で網膜の血管が障害を受けて出血や白斑などが網膜にできます。この治療として最も効果的なのは光凝固です。糖尿病網膜症の光凝固は、血管の障害で起きた網膜のむくみを軽減し、さらに新たな出血や緑内障などの合併症を予防する目的で行います。

この病気の長い経過の中での改善や進行防止を目指した治療で、必ずしも短期的に視力が回復するとは限りません。病状により、部分的に行う場合と何回かに分けて網膜全体に行う場合があります。この光凝固の時期が遅れると失明にもつながるので、主治医の指示を守り治療を受けるとよいでしょう。

3.網膜中心静脈閉塞症・網膜静脈分岐閉塞症
網膜の静脈が圧迫されて起こる眼底出血で、出血が吸収されるまでに半年から1年かかります。出血の吸収促進や、黄斑部の浮腫の軽減、硝子体出血のもとになる新生血管の発生防止、さらには緑内障の合併を予防するために光凝固を行います。

この病気による悪い影響が広がるのを防ぐことを目指した治療で、必ずしも視力が回復するとは限りません。

4.中心性網脈絡膜症
40~50歳代の男性に多い病気で、網膜の中心部である黄斑にむくみが出るために、物が歪んだり、暗く見えたり、小さく見えたりします。まず、蛍光眼底撮影によりむくみの原因の箇所をはっきりさせます。その後、光凝固が可能な場合は施行することにより、早く治すことができます。一般に網膜にむくみの状態が続くと、むくみが治っても暗点や歪視が残りますが、光凝固によっても暗点が多少残ることもあります。

5.加齢黄斑変性症
網膜の中心の黄斑部に新しい血管が発生し、出血しやすくなり、視力が低下してしまう病気で、近年、平均寿命の延長とともに、高齢者に増加しています。見ようとする所が見えなくなる病気で、出血しやすく弱い新しい血管を蛍光眼底撮影で確認し、光凝固をすることにより病気の進行を止められる場合があります。

この治療は施行後、暗点が残ることもあり、また再出血し、かえって視力が悪化することもあります。ただし、視力が悪くなっても長期的にみて進行を止められるため、あえて光凝固をすることもあります。

6.緑内障
急に眼圧が上昇する緑内障発作がありますが、その緑内障発作時、または発作予防のためにレーザー虹彩切除が行われます。眼圧上昇は眼の外への水の流れが悪くなるためです。レーザーで虹彩の端に小さな孔をあけることにより、前房と後房の交通ができ、水の流れをよくします。

緑内障の種類によっては、レーザー線維柱帯形成術というレーザー手術を行います。これは眼の内の水(房水)の出口である隅角部に光凝固を行って出口を広げ、眼圧を下降させるという方法です。

7.後発白内障
白内障手術の際には後嚢という水晶体の袋を残します。白内障手術後にこの後嚢が混濁し、視力が低下することがあります。ヤグレーザーという特殊なレーザーを使い、混濁の中心を切開すると視力が改善します。

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