がんを発病する人が増えると同時に、治療の進歩によりがんと長く付き合っていく人が増えています。そして、治療=入院生活ではなく、治療しながら仕事も続けていく時代になり、がん患者の3人に1人が働く世代といわれるようになりました。

がんが体の一部にできても、がん細胞を切除できたり、臓器そのものを摘出したりして、これを手術によって取り除くことができる場合は、比較的早く仕事に復帰できることがあります。しかし、事情がもっと複雑で、転移があったりして抗がん剤による治療で長引くような場合は、長期の治療計画が必要になります。

そうなると、患者は費用の問題と同時に今の仕事をどうするかということが大きな問題となります。有給休暇を使いきってなおその会社に残ることができる方法はあるのかどうか。また、会社が何らかの便宜を図ったとしても、抗がん剤の副作用で仕事に不自由が出ないかどうかの不安もあります。

厚生労働省の統計では、約32万5千人が仕事を持ちながらがんで通院しているといいます。調査では、診断時の職場を辞めたがん患者199人のうち、約4割の人が治療開始前に、約2割の人が治療で休んで復帰することなく退職しています。そんな中、治療中の社員が働きやすい環境づくりに独自に取り組む企業も出てきています。

一例として、不動産大手の大京グループでは、2015年4月、がんに特化した治療休暇制度を導入し、通常の年休や休職期間を使い切っても退職せずに在職し続けられるようにしました。会社の規模や、非正規社員であるなど雇用形態によっては厳しい状態にある患者も多い要です。

一方、がん患者の就労活動を支える取り組みを始めた病院や患者団体もでてきました。宮城県では東北大学病院で、毎月、仕事の悩みや解決策を語りあう患者サロンがあります。また、愛媛県では患者団体「愛媛がんサポートおれんじの会」が患者の就職を後押ししています。履歴書作成や模擬試験のほか、就職後の人間関係の悩みにも対応しています。

実際、がん患者が仕事で抱える悩みとはいったいどんなものがあるのでしょうか。多くの患者と接してきた経験から「がんと暮らしを考える会」では、治療経過とともにどんなことに困り、どんな支援が必要になるのかをまとめています。

がん患者の悩みと必要な支援
治療の経過 患者の困りごと 必要な支援
精密検査・
確定診断
職場につたえるかどうか ・キャリアの不安

・やりがい喪失

・職場の人間関係

・離職、再就職の悩み

・経済的不安

職場への伝え方
入院手術 休みの取り方
不在時の仕事の分担・
調整
治療計画と
休業制度などの
確認
通院治療 復職の不安
・いつ?
・どうやって?
・部署は?
職場での配慮の
引き出し方
医療機関の協力
緩和ケア 通院の休暇の取り方 再就職支援
トラブル解決
終末期 退職の検討 退職に関する支援

(参考:朝日新聞2016/11/26)

(八咫烏)

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