ヤタガラスのお気楽闘病記12~慢性硬膜下血腫 1

病名は「慢性硬膜下血腫
この病名を聞いただけではどんな病気かわからないので調べてみました。説明の内容を見て、私の場合とどんピシャリ一致していたので納得がいきました。

慢性硬膜下血腫とは、軽微な頭部外傷の後、約2週間から数ヶ月くらいして硬膜下にじわじわと血液がたまり血の塊(血腫)が出来る病気です。この硬膜下というのは、頭蓋骨のすぐ内側にある硬膜といわれる厚くて丈夫な膜と脳を包んでいるくも膜という膜の間のことをいいます。原因は勿論、頭の外傷が多いのですが、この外傷には転んで頭を強打して脳震盪を起こすようなものもあれば、少々たんこぶが出来るくらいの軽微なものまでさまざまで、中にはいつ頭を打ったかはっきりしないような場合もあるそうです。50歳以上の中高年の男性に多いとされ、大体10000人に1人の発症率といわれています。通常は一側性ですがまれに両側性のこともあります.

また起こしやすい危険因子のある人としては、
・アルコールを多飲する人
・脳萎縮のある高齢者
・パーキンソン病など歩行障害により転倒しやすい人
・肝臓病や血液疾患に罹っている人
・血液透析を受けている人
・アスピリンなどの抗血小板薬やワーファリンなどの抗凝固薬などを服用していて血液の止まりにくい状態にある人
などが知られています。

血腫の発症機序はまだ完全には分かっていませんが、以下のように考えられています。すなわち、頭を打撲したときにまず脳の表面からくも膜を横切ってゆく静脈が切れて硬膜下に小出血が生じます。そこに髄液が混入して外膜と内膜という2つの被膜を次第に形成してゆき、血液はそれに包まれて血腫となります。硬膜下腔の血腫は普通固まったり吸収されたりせず、血腫被膜の内外の浸透圧差により髄液が血腫内に流入したり血腫被膜に新しく血管が形成されてそこから出血を繰り返したりなどしてゆっくりと血腫が増大してゆくといわれています。

症状
血液や髄液がほんの少し貯まっただけではほとんどの場合、無症状ですが、血腫が大きくなって脳を圧迫するようになってくると症状が出現します。すなわち血腫の圧迫によりまず頭蓋内圧が亢進し、頭痛をきたします。さらに血腫が大きくなり脳が圧迫されますと「物覚えが悪くなる」といった記銘力障害、「頭がぼーっとしてはっきりしない」といった思考力の低下などの痴呆症状や性格や行動の変化などいろいろな精神症状をきたします。さらに圧迫される部位により手足の麻痺、失語、てんかん発作など脳の局所症状がみられることもあります。

そして最も危険なのは、血腫が非常に大きくなり、それによる圧迫のため脳ヘルニア(テント切痕ヘルニア)を起こすと、傾眠などの意識障害、瞳孔不同、片麻痺などからさらに呼吸障害と進展し、最悪の場合、死亡につながることさえもあります。このようなことになっては大変です。症状が出始めるまでに時間がかかっても、ある程度症状がはっきりしてきたら血腫はかなり大きくなってきており、以後の進行が速かったり、血腫の中にさらに大量の出血を生じて急性増悪をきたすこともあるので、早めに神経内科や脳外科などで診てもらう必要があります。

診断とそれに必要な検査
まず頭部打撲の既往があるかの問診とともに神経学的所見をとります。この時、頭蓋骨を打診してみると痛みを感じることもあります。いろいろな痴呆疾患や神経変性疾患、脳腫瘍や脳梗塞などの脳血管障害が鑑別の対象になりますが、検査で最も有用なのが頭部CT検査です。
(キャッチコピーは私の実際のCT検査画像です)血腫は頭蓋骨と脳の間に三日月型をした灰色の部分として認められます。また脳は圧迫されて反対側に押しつけられ気味になったり、あるいはむくみのため脳のしわがはっきりしなくなっていることもあります。

治療
血腫はそのまま様子をみて吸収されることは少ないので、ある程度の大きさであれば脳障害を残さないよう出来るだけ早期に手術をして除去するようにします.手術は普通、穿頭血腫洗浄除去術といって、局所麻酔をして頭蓋骨に約1.5cmの穴をあけ、そこから血腫を吸い出し、さらに血腫腔を生理的食塩水で洗浄するという方法です。うまくいけばわずか20分程度で終わり(私の場合、メスを入れてから27分でした)、高齢者や全身状態の悪い方でも安全に受けられます。感染や出血などの合併症がなければ、早ければ翌日には症状は改善し、1~2週間で退院も可能です。また再発率も約10%くらいです。但し、高齢者で脳萎縮のある方、合併症のある方、多房性血腫といって繰り返し出血していて血腫が何重にも形成されている場合は要注意です。

最後に、慢性硬膜下血腫は数少ない治せる痴呆をきたす疾患の1つです。アルツハイマー病や脳血管性痴呆と見誤らないよう少しおかしいなと思ったら早めに脳外科や神経内科など専門医に診てもらうことをお勧めします。

この病気を引き起こした原因、症状、検査、手術等は、まさに上記の通りで、私の場合とぴったりと同じでした。

ヤタガラス

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