福井におけるオリーブ栽培について(2-四半期報:つづき)

福井におけるオリーブ栽培について(2-四半期報:4-6月)(つづき)             洲浜三郎

 

今回はオリーブの品種についてお話します。

オリーブは、世界各地で栽培されていて非常に多くの品種があります。
オリーブを栽培し、商品として販売して収益を挙げる経済栽培を目的としているので、それに適した品種を取り上げています。
1 オリーブの特徴等として、次のことが挙げられます。
1.1 自家結実性:オリーブは、自家結実性(自身の花粉で授粉し結実する性質)が無い或は低い品種が多くあります。この場合は、花粉量が多い別品種のオリーブを授粉樹として一緒に植えます。
1.2 開花期と収穫期:開花期の同じオリーブを植えて授粉の時期を揃え、収穫期が集中しないように収穫作業の平準化を行います。
1.3 樹形:横に広がる開張型、縦に伸びる直立型、その間の半直立型があります。圃場の状況や収穫の要領、防風用等によって選択されますが、剪定で樹形を整えることも可能です。
1.4 実の大きさ:実は小粒(1cmから)、中粒(2cmから)、大粒(3cmから)に分けられます。小粒でも豊産性のものや風味の良いものは選ばれます。
1.5 用途:オイル用は、油の含有量が多いが、一般的には小粒の豊産性のオリーブや実が枝から離れやすいタイプがオイル用に好まれます。テーブルオリーブ用は、漬物として加工して保存するのに手摘みの中から大粒のものが好まれます。
1.6 耐候性、耐病性の他、苗の入手性も検討の対象となります。

2 以上の事柄を考慮して、植樹の苗として選んだ品種のうち、8品種について説明します。
2.1 マンザニロ:世界各地で栽培されている。オイル含有率は低いが結実量が多くて生産性が高く、特にテーブルオリーブとして評価が高い。開帳性で樹高は低い(スペイン)

 

 

 

2.2 ミッション:1908年に小豆島で始めて栽培された品種で、今でも多く栽培されている。一般的にはテーブルオリーブ品種ですが、少し辛みはあるがオイルにも向いている。葉は、表が緑色と裏が銀色のコントラストが美しい樹である。耐寒性と自家結実性があり、直立性で樹高が高くなる。(アメリカ)

 

 

2.3 ルッカ:小豆島等で多く栽培されている品種で、小粒の実を沢山つけてオイルの品質が良い。樹高が高くなるため他の品種より結実開始樹齢まで1~2年長く掛かる特徴がある。自家結実性も高く、耐候性、対病性にも優れています。(アメリカ)

 

 

 

2.4 ネバディゴブランコ:花粉量が多く開花期も長いので、授粉樹として選んでいます。オイル含有量大で、耐候性にも優れている。(スペイン)

 

 

 

2.5 フラントイオ:安定して結実するため世界中で栽培されています。フルーティなオイルが取れるが、ある程度の低温が必要で、オイル向きの品種です。(イタリア、宮津)

2.6 レッチーノ:マイルドで美味なので、オイル、テーブルオリーブ両方に使用されている。耐候性、耐病性に強い。(イタリア、宮津)

2.7 シプレッシーノ:樹が小さいうちから結実するオイル用ですが、授粉樹としても使用されている。直立型の樹形で5m高まで伸ばすことが出来るので防風柵としても期待できる。(イタリア、宮津)

2.8 アルベキア:植樹後の成熟が早く鈴なりに小粒の実を付け、高品質でオイルが取れるのでオイル用として適している。開帳性で、機械を利用した収穫に最適です。(スペイン)

次回は、オリーブを使った商品について説明したいと思っています。

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