おぼろげ記憶帖 10(最終稿) 関西の言葉

何人かが集まった折、
「出身地はどちら」
と尋ねることがあります。

行ったことのある土地ならその時を思い出して話が弾み、行ったことがなければお聞きして知ることが出来れば楽しいのです。

その時の答えに
「関西です」
との返事が返ってきた時私は執拗に
「関西のどこ」
と尋ね続けます。
それは関西 特に大阪では話し言葉がとても大事だと思うからです。

一口に関西といっても京都・神戸・和歌山・奈良。範囲を縮めて河内弁・岸和田弁そして大阪弁。西宮・芦屋・伊丹なども私の知る限りその土地ならではの言い回しがあるようです。

大阪弁も市内の北の方は船場の言葉。谷崎潤一郎の「細雪」の世界ですが 南の方はまた違うようです。

12歳まで育った場所の言葉が定着すると聞きました。(外国語は35歳まででないと習得は出来ないとも言われていますが…。)

現在は昔と違って人の移動も頻繁になりその土地の言葉がしっかりと根付き、残るという事は難しくなったかもしれません。

NHK朝のテレビドラマ 「おちょやん」 のモデルの浪花千栄子さんはとてもきれいな なにわ言葉でした。8歳までのあの河内弁が!と思う時ごりょんさんの厳しい躾の賜物でしょう。

明治15年生まれの私の祖母はやはり船場言葉でした。目上・目下、男女、相手の地位やお付き合いの程度で細やかな敬語の使い分けがあります。傍にいるだけでその関係がしっかりと分かるのです。商売をするうえで相手を傷つけず自分の気持ちをシッカリと伝える知恵でもあったと思われます。

また同じ言葉でも抑揚の違いで全く別の意味になることもあり、
「まあまあ」
とか
「よしよし」
とか言葉を二つ重ねての擬音をよく使い短い言葉で気持ちを的確に伝えることが出来ます。大阪の言葉は書き言葉ではなく話し言葉なのだと思います。

成人してもなお大阪に暮らした私にはどこかのんびりとした言葉に郷愁を感じる昨今です。そして吉本新喜劇のあのテンポの早い言葉には付いて行けず、テレビに向かって
「そうと違うねん!そんな言い方をしたらあかん!」
大声で言っている私がいます。

AZ

 

 

 

 

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