福井におけるオリーブ栽培について(エピローグ)

本稿では、今年1年間の福井の砂丘地におけるオリーブ栽培に関する主な活動とトピックスを、紹介してきました。近年オリーブに関する話題が多い中で、読者の方々の関心に応えることが出来たかはいささか覚束なく思っています。本稿では、コロナ下で収穫祭が縮小される等の中での1年間の活動を振り返り、今後の夢について語って筆を置くことにしたいと思います。

 

  1. 今年1年を振り返って
    •  今年は組合設立から3年目の活動になり、組合員も生産活動に慣れてきました。従って、勉強会も収穫が始まる9月と、今年の栽培活動を終えた12月の今回の2度の開催でした。
    •  一方、今年の協同作業は、オリーブの本数が増えたことと収穫が始まったことで、2月から12月にかけて計30回行い、防寒布の脱着、植樹、剪定、施肥、防除、除草、摘果、防風ネット設置、茶葉の収穫、新漬け用オリーブの収穫、オイル用オリーブの収穫(宮津に搾油委託:写真2)、収穫祭の開催、等を実施しました。
    •  植樹した14品種の計約1,500本のオリーブの木の中で、生育の良い738本から約350㎏を収穫しました。この内約320㎏を加工して、新漬けを200mℓ瓶約250個、及びオリーブオイル100mℓ瓶300個を製品化できました(写真3: 再掲)。食味会や宣伝の場での評価は良く、来年からの商品化の見通しが得られました。

これ等は、オリーブの栽培活動を支援して頂いた関係の方々に感謝の意を込めて提供し、また組合員の労に報いる為に配布されました。

  1. 今後の予定
    • 来年は500本を植樹し、2,500本に向けて栽培を拡大する予定です。
    • 来年は商品化に備えて施設を整備して搾油機を導入し、また、販路を開拓する予定です。
    •  更にオリーブと地元の野菜を使ったレシピを野菜ソムリエ等と検討していきます(右試作レシピ;新漬けのシロップ漬け、酢漬け、味噌漬け、生姜入り味噌漬け)。
    •  組織を整備し、情報を発信しつつ観光農園化に向けて活動を行っていきたいと考えています。
    •  ブルーの北陸新幹線の整備が少し遅れる様ですが、福井を通る頃には我々のオリーブ栽培は着実に進み、地域の景観も徐々にではありますが改善して行くことを期待しています。

 

最後に、ハイムのベランダでもオリーブの栽培を楽しむことが出来る鉢植えについて、簡単に紹介して筆を置きます。1年間に亘り、お付き合い有難う御座いました。

 

鉢植えについて

オリーブの木は、剪定して好みの樹形に手軽に整えることが出来るので、鉢植えにして楽しむことが出来ます。また鉢植えの利点は、寒冷地でも冬季には室内の日当たりの良い処に移動したり、雨風の強い時は軒下などに移動して育てることも出来ます。

  1. 苗の選び方

苗木は園芸店等で求めることが出来ます。本稿2-四期報で説明しましたように、品種のはっきりした苗木を選ぶ必要があります。特に、果実を楽しみたい場合には、自家結実性の強弱や果実の特徴などを考慮して苗木を選びます。出来れば品種の違う2本を植えると結実が良くなります、更に枝が太く節間が狭く、葉色が良く根が良く張っている健康な苗を選びます。

  1. 鉢の撰び方

鉢の大きさは、買った苗の根鉢よりも一回り大きいものを選びます。苗は大きくなる度に植替えていきますが、その度毎に環境を大きく変えないで、苗にストレスを与えないためです。鉢は通気性、排水性、断熱性に優れた素焼きの焼物のテラコッタが適当です。但し、重くて割れやすいという難点があります。他にも色んな種類の鉢が有り、好みに合わせて選択できます。

  1. 用土の作り方

オリーブは、弱アルカリ性(pH 7前後)で水捌けが良い土壌を好みます。唯一の弱点は過湿です。赤玉土、川砂、苦土石灰、完熟堆肥等をブレンドして用土を作りますが、少量ならばオリーブ用の培養土が販売されているので、これを購入して使えば問題なく育てられます。

  1. 植え付け方

オリーブの植え付けは盛夏や厳冬期でなければ何時でも良いが、根や新梢が成長し始める前の3月前後が適しています。植え付けは、次の要領で行います。

・鉢底の穴のところにネットを敷いて、鉢底石を数cm入れます。

・苗をポットのまま入れて、鉢の縁から2cm程のウォタースペースが出来る様に用土を入れる。

・ポットを取り出して苗木をポットから抜き、苗の根鉢を崩さないように鉢に戻し、周りにまんべんなく用土を隙間がないように入れます。

・根元から少し離して支柱を立てて、麻ひもで誘引し苗がぐらつかないように結束します。

・鉢底から水が流れ出るまでたっぷり水を遣ります。活着するまで1ヶ月ほどは毎日水を遣ります。

  1. 鉢植えの管理

・水遣りは、春・秋は1回/日、夏は2回/日、冬は1回/2~3日、何れも朝夕に行います。排水して表面が乾いてくる時に細根が成長するので、水遣りは適度に加減します。

・肥料は、芽が動きだす3月(春肥)、果実が大きくなる6月(夏肥)、次の年の成長のための10月(秋肥)に施します。窒素・リン酸・カリが等配合の化成肥料とアルカリ性にする苦土石灰を散布します。排水性の良い用土を使っているので、肥料が抜け易いので葉が赤くなってきたら適度に追肥を行います。

・萌芽力が強いオリーブは枝が込み合ってくるので剪定が必要です。また好みの樹形にする為にも必要です。葉の量で、果実を楽しむなら20~30%、鑑賞用なら50%まで減らしても大丈夫です。

・鉢植えは3年に一度を目途に、木の成長に伴って大きい鉢に植え替えを行います。

トライして下さい!!

終わり

洲浜三郎

 

ホームページ:「三里浜オリーブカルメリーナ」https://www.sanrihama-olive-carmelina.com/
(カルメリーナは、庭園を意味するイタリア語に由来しています。)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Optionally add an image (JPEG only)

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください