ボクのロンドン滞在記~シン日英同盟めざして~ (その35) 週末を友人宅で過ごす
夜半に騒動があって、夜が明けた朝、洗面所とバスのお湯が出なくっていました。朝シャンをすることもなく(ふだんからしていないが)、そのまま大学に出勤しました。
地下に住んでいる大家にあいさつします。いやみの1つも言ってやろうかと思ったのでしたが、善良そうなお爺さんの顔を見ると、そうそう悪態をつくことなどできなくて、大家さんとこんな話を交わしました。
「ニック(大家さんの名前)、ボクはこれから友人の家に泊まりに行って、あさっての日曜日の夜に帰ってくるつもりなんだ」
「案の定お湯のパイプは直っていなかった。今日修理工はきたが検査のみで終わったって。直すのは月曜になると言う。でも、これは月曜だって本当に直るかわからないぞ・・・。これがイギリスだ。」
最寄りの地下鉄駅から、Euston(ユーストン)駅に向かいました。この駅始発でボクが乗り込む予定の長距離列車が出ているのです。
すでに切符はネットで手配がしてありました。
電光掲示板のまえに多くの人が待っています。次々に発車する電車が表示され、アナウンスがなされますが、ボクが乗る列車は、いっこうに表示が出ません。
アナウンスを聞いていると、乗務員の乗り込みが遅れているために出発が遅れていると言っています。
いらいらして待っている内に、急にアナウンスが入りました。
「おそらくこれだな」と身構えていると、出発する電車のプラットフォームの番号がアナウンスされました。
それと同時にいっせいに多くの人が大急ぎで改札に移動していきます。しかし、改札口ではなにもチェックがなく、そのまま皆がプラットホームに進んでいき、電車に乗り込んでいきます。
と伝えると、友人は、
「オーケー、駅で待っているので、心配しなくていいよ」と動じることもありませんでした。
(あとで分かりましたが、公共交通機関が遅れるのはむしろ当たり前、日常茶飯事のことで英国人には慣れっこのことでした。このトラブルにはロンドンに戻るときにも見舞われました。それはまた後日談として)。
ようやく出発した電車の中で、到着が計算できて、安堵の気持ちをとりもどしました。
それにしても、こちらでは、耳で聞いて意味を捉えないと何が起こってるかわからない場合もあり(劇場でのボヤ騒ぎもありました)、トラブルに陥りかねないことが身に沁みてよくわかります。
こういうときに今ひとつ不安なときは、そばにいる英国人をつかまえて確認するようにします。なんといっても英国人は英語の聴き取りが得意ですからね。笑
隣にお住まいのご夫婦も一緒に、庭の一角にしつらえられたパティオで食事と会話を楽しみました。外はまだ明るい(今の季節は、9時過ぎまでじゅうぶんに明るいのです)。
広大な牧場のような用地に家が建っています。パティオは友人の手造りだと言います。
さっそく食事をいただきます。ワインがおいしい。奥さんの手料理の鮭の照り焼きがこれまたおいしい。
英国人がどんなことに興味を持ち、何を感じているかに関心があるのです。
おかげで、いろんな面で知ることができました。こういう体験は何ごとにも代えがたいものです。
食後は、火を囲んでコーヒーを飲みながら、こんどばボクが中心になって話を披露します。
話題は、もちろんフラットでの深夜の幽霊騒動です。すでに大学のオフィスでも同僚たちに同じ話を披露しているので、段取りも慣れたものです。どこで驚かせ、笑わせるかの計算もできています。
と言われてしまいました。
友人たちは田舎での生活を本当にエンジョイしています。
きっとこれが英国人の理想なんだと思います。
会話が弾んで、英国に来てなんとなく英語が不自由なく出て来るようになっている気がします。
明日は朝が早い、5時に出発するという。シャワーを浴び、ベッドに入り、横になった途端に眠りに落ちていきました。
風戸 俊城
ハイム在住。現役時代は中東、東南アジアの4か国に駐在し、40年勤務した後、現在は英国と日本を結ぶ知財プロモーターとして働く。経済・産業分野の翻訳業も手がける。