ボクのロンドン滞在記~シン日英同盟めざして~ (その44) 酷暑の夜にお寒い話とは?

(前回まで)7月18日月曜日、英国を熱波が襲いました。一般家庭にエアコンは普及しておらず、40度を超える異常気象にとまどう英国国民たち・・・・・。
 
未曾有の熱波襲来が英国に巻き起こしたさまざま事件を伝える新聞の見出し(キャプション)を前回はお伝えしました。

7月19日(火)快晴、熱波酷暑

久しぶりの焼肉レストラン

日本ならたかが40度くらいでこんなに大騒ぎにならないと思うのですが、ロンドン市内は公共交通機関が軒並み影響を受けて、ピカデリー線などはひどい遅れが生じています。(ピカデリー線は、地下鉄の中でも古い線なので、すぐに不具合が起きるんだと英国人の同僚が言っています。)

気温上昇のためにレールの膨張率が設計の許容範囲を超えるからだという説明を受けました。でもほんとうにそうなら相当ずさんな設計です。だって地下鉄ですぞ。地上の線はキャンセルが続出しているようです。
(あとで仕入れた知識では、なにしろロンドンの地下鉄は世界最古で、40度を超えるような日が来るとは想定されていなかったというロンドンに長年住んだことのある日本人の説明でした。)

今日のテーマは、そんな酷暑の夜に起きた、お寒い話です。

さて、こんな熱波襲来で英国中が大騒ぎの中、ボクはと言えば今日の夕食は、精力をつけようと思い立ち、オフィスから向かったのは焼肉レストランです。1人焼肉でせめてものテンションアップを図ろうとしたわけです。このお店はその昔、娘とかみさんと来て、とても美味しかったとの記憶があった。なるべく日本食をたべないようにと言う禁を破って?日本食に来てしまったわけです。これも熱波のせいと言い訳をして・・・。しかし、今日の本題は焼肉ではないのです。

冷房の効いた室内で、テーブルに案内されて、メニュをのぞき込んでようやく注文をし終えたタイミングで、隣のテーブルに日本人とおぼしきグループ客が案内されて着席しました。

観察するともなく、なんとなく同胞らしき雰囲気が伝わり、グループ客は日本から派遣されている駐在員だということがすぐ分かりました。

 
よく見ると(けっきょく見るのかい)、日本人3名と英国人1名でした。

そして、すぐに合点がいきました。

日本人駐在員3人で、接待を受けるとおぼしき英国人1名をお連れしたというわけです。
ああ、ボクも数年前まではこんな感じでジャパニーズビジネスマンをやっていたなと思ったのでしたが・・・。

それも、つかの間、こちらの存在などまったく意に介せず、彼らは固有名詞の入った話をべらべらと始めたではありませんか。

そこで、ダンボの耳と横目での観察の結果、この3人の構成はこうです。
まず年長者が50代でおそらく現法のNo.2クラス、
次が40代で現地では部長(日本では課長)、
一番若いのが30代で課長(日本では主任)、
と一瞬で当たりをつけてしまいました。

海外現法では役職がインフレになる。へたすると麻雀でリャンハンくらいついちゃう。悲しいかな、日本人サラリーマンのヒエラルキーは海外でもつきまとっています。

正直なところ、50代の年長者がそれほど英語が上手でなく、ときどき余り切れの良くない英語で英国人におもねっている感じです。
次の2番手40代が、英語が得意という気をみなぎらせていて、ペラペラっぽく話します。たぶんTOEIC800点台から900くらいの感じかなぁとこれまた勝手な想像ではあります。

しかし日本料理店で、親会社に関する仕事の話をしているのですから、いちばんやさしい範疇の話題に違いないのです。けっしてバカにしたり、揶揄しているわけでないのですが。欧米の実社会で真に要求される英語のレベルはかなり高いものがあります。

欧米人との付き合いでは、仕事と日本の食べ物の話しかできない(ことが見透かされたりすると)、所詮それだけの人間だと見なされるというおそろしい側面があります。

さてさて、ここからがほんとうに恐ろしい話なのだが・・・・・・、

ボクは、その席にすわっていた30分くらいの間に、彼らが勤めているところが固有名詞でどこの会社であり、どういう仕事の関係でこの英国人を接待しているのかがおおよそ把握できたと言うことです。

おお、ゾクッと身の毛がよだつ。こわーい話です。

下の写真は、ガーリックライスを作ってくれている女性従業員です。
熱波襲来のロンドンの夜に、おばかな海外駐在員の生態の一端を垣間見たのでした。
下の写真は、熱波襲来でダイヤが乱れ混雑する地下鉄の風景です。

(つづく)

 

風戸 俊城

ハイム在住。現役時代は中東、東南アジアの4か国に駐在し、40年勤務した後、現在は英国と日本を結ぶ知財プロモーターとして働く。経済・産業分野の翻訳業も手がける。

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