この運動場をサツマイモ畑にしてサツマイモを育てて、都会の子供たちに送るのだということで、小学5、6年生は自宅からクワを持ってきて、運動場を耕し始めた。一週間で畑になってサツマイモのクキを埋め込んで、毎日水やりが始まった。
「都会の子供が待ってるんだ!しっかり大きなイモを育てるんだぞ」
私たちが運動する場所はなくなりました。すぐ隣の中学校の運動場を共有して仲良く使わせてもらいました。

この時、なぜ小学5、6年生だけが、言いつけられたというのはいまだにわかりませんが、担任の先生が戦争から復員して担任になられたので、特に戦争の悲惨さを知っておられて行動に起こされたのではないかと思うのです。
しかし、私たちには不満はなく、固くて石ころごろごろの運動場を畑にしたのです。肥料は近所の農家が協力してくれて、翌年の夏、いよいよ収穫を始めた。生徒の代表が、南の端の畑から初収穫のサツマイモの大きいのを掘り上げた。歓声がこだました。

「さ!みんなで掘り出せ!!」
あっという間に収穫は終わった、トラック2台分はあったが、袋に詰め込まれたサツマイモは、どこからきたのかオート3輪トラックに積み込まれて、校門を出て行った。

生徒全員整列、サツマイモのツルを運動場の片角に集めろ!その時です、サツマイモになりかけの細いクキのようなイモを見つけて、生徒たちはそれをとって、川で洗い、そのまま食べだした。男子が「サツマイモの味がするぞ」と声をあげたら、先生が聞きつけ飛んできた。
「それは食べるな!勝手に食べるな!食べた奴はそこに並べ!」
生徒から笑顔が消えた。食べた者は皆並んだ。

「後ろの者から前の者にゲンコツを喰わせろ!お前らが食べたクキは明日、学校給食にする予定だ!けしからん!ウ!そんな弱いのダメ!もっと強くなれ!そうやって、何事も勝手に食べてはいかん!サツマイモのクキとて皆の食料になるんだ!だが、良くやった!明日から運動場に戻すぞ!」
生徒の私たちは、何も辛くはなかった。
担任の先生がこう言ってくれた。
「君たちは都会の子供を知らない。都会の子供たちも君たちのことは知らない。だが、都会の子供たちは自分たちのための食料を竜川村の小学生が作ってくれたことは知っている。彼らがサツマイモを食べる時、必ず僕たちのことを思い出してくれる。それでいいだろう?文句のある奴はいるか?」
「先生、来年は作らんでいいんですか?」と言った生徒がいた。
「ありがとう!お前たちは良くやった!先生感謝するぞ」

その先生は戦場でトカゲやヘビを食べて空腹を満たしたと言ったが…。
貧しいことにも歓びと平和の心はつながっていたんですね。

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