わるがき/その①「進学できない子供たち」・・・X氏のつぶやき62

わるがきシリーズを少し書いてみます。
わるがきと言われる少年、子供たちは本当に悪いやつらなのか—と私の心が動いた体験からいくつかシリーズにしてみます。

わるがき/その①「進学できない子供たち」

少年「てつ」は、度々コンビニに止めてあるチャリンコを無断で乗り回して警察の世話になり、困った少年だった。が、私の友人の子供の友達だったので、その少年のことを聞いて、それなら毎週土曜日の午後、公園の空き地で草野球やらんかと声をかけると、友人の家の子供たちが、わるがきが3人位いるがいいですか?と言ってきたので、まとめて連れて来い、野球は三角ベースでも人数は多い方がいい、ということで、てつ君を始め、マルタ君、ゆうた君、りょうた君らが集まってきた。

てつ君は中学三年生。茶髪で乗ってきた自転車は、飾りをいっぱいつけて、それなりのわるがきであった。始めは、私につっかかってきて、真面目に受け止めず、いいかげんな草野球を始めた。私が両チームの万年キャッチャー。ピッチャーはやりたい者にはヘタでもやらせてやる。りょうた君とゆうた君はまとめ役で、10人ほどのわるがき草野球が毎週土曜日に続いた。

雨の日もわるがきは公園にやってくる。私も行く—そうこうしていると、てつは中3、高校へ進学できるとこがないんや、という話になって。りょうた君も悩んでいることを相談してくるようになった。

「オレは、三回もチャリンコで警察につかまってるからな、どこの高校にも行けへん」
「ぼくの成績だと、私立の推薦にも行けへん」
「そうか、お前ら少年院には入ってないんだな?」
「そこまではいってないよ!おっちゃん、オレは、警察官になろうかと思うんや、そうすりゃオレの悪いクセは直るやろ?警察官になったらチャリンコは盗んだりせんよ」
「そうやな、それはええ考えやな。けど警察官になるなり、試験を受けて警察学校に行かないけないよ」
「オレの悪いクセを直すのには警察官になるのが一番いいと思うんやけどな。オレはもうつかまりたくないんや。今つかまったら少年院行きやしな。どこか試験なしで高校行けるとこはない?おっちゃん?」
「そうかりょうたはどうする?」
「先生と相談したら、公立は絶対無理やっていうけど、ぼくは落ちても公立受ける」
「ほぉ?お前ら学校の先生からはいかれた生徒やろ?」
「そうや」
「勉強は出来が悪いんだな」
「学校おもろないねん」
「なんで高校に行きたいんや?中学出て働いたってええんやで」
「それはいやや。働くのはいややで。馬鹿にされる」
「そうか、そんなら高校へ行くための勉強せなあかんな」
「入学試験がないとこはない?」
「ないな、けど入学試験だけの勉強なら三ヶ月集中してやったら受かるで」
「ほんま?うそや!」
「りょうた君、公立だって狙って勉強すれば受かるかもしれんぞ!先生は無理や言っても、君のやる気があったら三ヶ月あったら間に合うぞ!」
「オレは無理や!」
「てつは、いままで勉強してないんやからやったらできるぞ」
「いや、オレは入試のない高校でないと行かれへん」
「先生と相談したんか?」
「農業高校やったら行けるかもって言うけどな、農業はいややな」
「バカヤロウ!警察学校へ行くより、農業高校の方がいいよ!てつには作物を育て、人間の生活に欠かせない野菜などを育てる研究は、東大でもやってるんだぜ。この県には農業高校があるんやろうな?農業高校ええな!てつ君がうまい野菜の開発をしてくれたら嬉しいなぁ!」

そんな彼らの悩みが土曜日の草野球が、高校受験勉強をやることに決まった。この連中が!てつが自分の家でおっちゃんに教えてもらうと言い張って、りょうたたちも誘った。てつの家は両親が働きに行ってるので、昼は家は空いていた。ある日、てつが言った。

「オレ、言ってへんが、おっちゃん?」
「何が?」
「地毛、地毛」と頭を指さした。
「おぉ!金髪やめたんか!」
「ピアスも取った」
「おぉ、もうそれだけで入学できるぞ」

このわるがきは、てつの地毛にしてきたことによって、皆の心の中が通っていったよいうに思う。りょうた君は、学校で居残りして入試勉強を始めたし、マルタ君も塾に行きだした。結果は見事!
りょうた君は先生が無理やとケンされた公立高校が決まった。てつ君は、奈良の農業高校に入れた。

その後、てつは農業高校で奈良で新種のいちごを開発して市場に出荷するようになったと、りょうた君を通して伝わってきた。

このりょうた君は意外にも奈良の公立高校から東京の国立大学に入学することができた。先生にボロクソに言われ、警察ににらみつかれてたてつ君が、いちごの開発に参加して商品として市場に出すまでに発展させた。誰がこの子らが、このような青年になるとは思いもしなかったでしょう。

両親とも、驚きの子供の成長を見たことでしょう。私は一年間、彼らと草野球通して仲良くなり、「おっちゃん、おっちゃん」と信頼された喜びが、今は何か誇らしくも思えてくるのです。

少年時代の彼らの心は、ふれ動いてぶつかりあってしっかりとした心を持つようになるのだろうか?中学生がなぜ警察などにつかまったのだろうか?と考えることはいりません。なぜあの少年がたばこを吸うのだろうか?と思うなかれ。全て私たち大人のマネをしているだけ。我々の姿を見て彼らは背伸びしていがっているだけです。そんなもんはいずれは自ら気がついて直していくもの。それには彼らの側にどんな大人がいるかに関わってくる。

 

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