まる餅のはなし

もう、かなり以前のことです。細かいことは忘れてしまいましたが、お正月の準備をしながら、毎年必ず思い出すことがあります。

わが家のお雑煮は、福岡時代から、隣町の生まれ育ちなのに、なぜか関東風のお雑煮を作る母の味を受け継いで来ました。だから他のことはいいのですが、カツオ菜という、葉の部分がびっくりするほど大きい独特の青菜と、丸い餅が手に入らないのが、なんとも残念でした。

ジェーソンの少し手前、商店が並んでいるところに、和菓子屋さんがありました。『三吉野』だったと思います。お正月が近づくと、ここで杵つきの餅を求めることができました。
関東の餅は長方形に決まっていますが、ダメもとで、まる餅はありませんか、と聞いてみました。やはり、作っていませんとのお返事。

ある年、「今年はまる餅を作りますよ、関西出身の人たちに、まる餅が欲しいと言われるから」と、お店の人が声をかけてくれました。まる餅まる餅としつこく言っていたわけではないけれど、お商売をする人は同じお客が2度来たら忘れないと言うほどです、覚えていてくれたのでしょう。もちろん、大喜びで注文しました。

楽しみにしていた出来上がりの日、勇んで受け取りに行きました。手渡された餅を見て、え―ッ。
丸い餅には違いありませんが、とても大きくて、鏡餅になりそう。これをどうやってお雑煮に入れるんでしょう。お店の人の気持ちはありがたいから、お礼を言って引き取っては来ましたが・・・

結局のところ、小さく切り分け、まる餅とは違う、不思議な形のお餅の入ったお雑煮をいただいたのだと思います。

翌年からどうしたか、ですか?三吉野でまる餅を買った記憶はありません。お店も作るのを止めたのでしょう。

三吉野もなくなってしまいましたが、最近はスーパーでまる餅が手に入るので、それを買ったりしています。

(U)

 

まる餅のはなし” に対して1件のコメントがあります。

  1. アバター 八咫烏 より:

    とても興味深い話ですね。角餅・丸餅については、こんなマップがあります。
    https://bungeikan.heimnohiroba.com/wp-content/uploads/2021/12/mochi-map.png

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