昨年開催されたサッカー「FIFA ワールドカップ カタール 2022」大会で、日本代表がスペイン代表に勝利し日本中を興奮の渦に巻き混んだのは記憶に新しい。決勝トーナメントに駒を進めるための最も重要な試合で、決勝の2点目を決めたのは、田中碧のゴールをアシストした三苫薫の執念のパスだった。三苫の蹴ったボールがゴールラインを割っていたのではないかと物議を醸したが、最終的に主審が下した判断はこのボールはセーフで日本の2点目が認められた。この判定でレフェリーの眼をアシストしたのが正にVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)だった。

決勝トーナメント1回戦は120分でドロー、PK戦まで持ちこみながらクロアチアに破れベスト8進出は叶わなかった。Jリーグ発足当時を振り返ると、全ての点において一歩も二歩も遅れていたが、その後多くの日本選手が本場のサッカーに参加することで、技術の差も相当縮まったように思える。海外メディアの記者たちが評するように組織力では日本はすぐれたものがあると思うので、今後のさらなる飛躍に期待したいと思う。

VAR(Video Assistant Referee)
VARは、FIFA(国際サッカー連盟)が今大会で導入した「半自動オフサイド判定技術」のことで、主審が下した判定を、ビデオ映像と通信用ヘッドセットを用いて確認するサッカーの試合審判員のこと、またはシステムの呼称である。
スタジアムには選手の手足やボールの位置を認識するためのトラッキングカメラを12台設置。ボールにも「慣性計測センサー」という“仕掛け”があり、このセンサーで検知したデータのオペレーションルームへの送信を可能にしている。

ボールに搭載したセンサーがデータを送信
「半自動オフサイド判定技術」は、カメラとセンサーを使って選手やボールの位置関係やシュートした時間などのデータを基に、半自動的にオフサイドを見分けるというもの。

トラッキングカメラで選手の動きを取得
この2つの仕組みを組合せて、データをAIに分析させることで自動的にオフサイドを判定。通知を受けたオペレーターが検証するシステムが半自動オフサイド判定技術だ。検証にかかる時間は数秒程度という。

VARは開幕戦から点数に影響を与えた。カタール対エクアドルの試合で、今大会初ゴールになるとみられたシュートがオフサイド判定により取り消された。日本対ドイツ戦でもVARの判定によりドイツのゴールが取り消しになっている。

カメラやセンサーのデータは試合の再現3D映像の合成にも使われている。今後の試合でも、判断の迅速化や見る人へのコンテンツ提供に役立ってくれそうだ。

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