オオシマザクラ(大島桜)

オオシマザクラ(大島桜)はバラ科サクラ属のサクラ。日本の固有種で、日本に自生する10もしくは11種あるサクラ属の基本野生種の一つ。成長が速く再生力が強く古来雑木林に植えられて燃料として多用されたことからタキギザクラ(薪桜)の別名があるほか、葉が桜餅の葉に使われるためモチザクラ(餅桜)とも呼ばれる

特徴
樹高は20mを超える落葉高木、樹形は傘上。一重咲きの大輪の花を比較的多く咲かせ花弁の色は白色。白い花と緑色の葉が同時に展開する。東京の花期は4月上旬。葉は長さ5cm~10cm程度で、先端が尖った倒卵形または楕円形で互生、細かい鋸歯を持つ。花と葉は比較的強い芳香を持つ。突然変異しやすく八重咲きになったものもあり、増えた花弁で雄蕊と中間的な形質を持つものを「旗弁(きべん)」という。

緑色の葉と相まってこの白い花びらが目立つことから旗弁を持つオオシマザクラは「旗桜」「白旗桜」とも呼ばれる。源氏の旗印も白旗であり、オオシマザクラの元の分布域が関東であることから、オオシマザクラと東国武士には強い関係性があるとも言われている

利用

花見と栽培品種の親として
日本は鑑賞(花見)目的で、世界各国に比べて歴史的に圧倒的に多くのサクラの栽培品種を生み出してきた。オオシマザクラは八重咲きなどに突然変異しやすく、成長が速く、花を大量に付け、大輪で、芳香なため、その見栄えのする特徴を好まれて花見の対象となってきた。

またこれらの特徴から、優良個体や突然変異個体の選抜・育種・増殖の繰り返しの結果として多くの栽培品種の母種となってきた。オオシマザクラを母とするこれらの栽培品種はサトザクラ群と呼ばれている。サトザクラ群にはカンザンのように濃い紅色の花弁を持つ品種もあるが、これは意外にも花弁が白色のオオシマザクラの特質を継承していると考えられている。一般的なオオシマザクラの花弁は白いが、色素のアントシアニンの影響で稀に花弁がわずかに紅色に染まる個体があり、散り際の低温刺激でも紅色が濃くなることがある。通常の野生状態ではこのように紅色の発露が制御されているが、選抜育種の最中に突然変異が起こって紅色の個体が生まれ、ここからカンザンなどの紅色系のサトザクラが誕生したと考えられている。

なおソメイヨシノもオオシマザクラが親であるが父であるためサトザクラ群には含めない。鎌倉時代に関東南部に人の往来が多くなると、現地のオオシマザクラが栽培され京都に持ち込まれるようになったと考えられている。そして室町時代にはオオシマザクラに由来するフゲンゾウやミクルマガエシが誕生し、江戸時代にはカンザンなどの多品種のサトザクラ群が生まれて、現在まで多くの品種が受け継がれている

燃料材・用材
成長が速く再生力が強いので雑木林に植えられて古来燃料(木炭)として利用された他、木材としても目が細かく均質であるため、浮世絵の版木やいら建材、家具の材料として用いられた。樹皮は磨くと光沢が出るため、工芸品として樺細工のように茶筒などの原料として用いられた。

食用材
花や葉が分解する時にクマリンの配糖体に由来する芳香を放ち、生育が良く萌芽しやすく毎年若葉を多くつけるため、昔から塩漬けにして分解を促進して芳香を増した葉が桜餅の葉に使われてきた。他のサクラの葉でも塩漬けにすればオオシマザクラと同等のクマリンの香りを生成することがあるため、現在では他の樹種の葉も桜餅に使われている。初夏にかけて結実し十分に熟した果実は食用となるが、通常の食用種であるセイヨウミザクラ(サクランボ)と比較してえぐみが強く実も小さいため、食用として流通することはない。樹皮は漢方薬の材料となり桜皮として用いる。鎮咳、去痰効果があるとされる。

緑化植樹として
光さえあれば栄養の乏しい土壌や火山性ガスにも耐性が強いなど悪環境下でも生育しやすいので、現代では工業地帯に緑化目的で植樹される。1950年代以降、海岸線沿いに防風林として植えられたクロマツがマツ材線虫病に罹患して枯れることが相次いだため、悪環境に強いと見られたオオシマザクラが代替樹として植えられたが、サクラの中では強いと言っても潮風に強い樹種とまでは言えないため2010年代後半時点では植えられることは減っている

(出典:Wikipedia)

0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です