春の星座~おしゃべりな白いカラス
予言や芸術をつかさどる神アポロンは、テッサリア国の王女コロニスと恋をして結婚しました。二人は天上と地上に分かれて暮らしていたため、アポロンはお互いの想いを伝える役目をカラスに託していました。そのカラスは白く輝く美しい羽を持っており言葉を話すことができました。でもおしゃべりで嘘つきでした。
ある日、カラスは、コロニスが男性とたわいもない話をしているところを見て、アポロンに「浮気をしている」と伝えました。怒ったアポロンは、見かけた影を相手の男と思い、矢を放って打ち抜きました。しかし、それはこともあろうに恋しいコロニスだったのです。胸に矢を受けたコロニスは「せめて、お腹にいるあなたの子を助けて」とアポロンに伝え、死んでしまいました。
自分の過ちに気づいたアポロンは、後悔に打ちのめされながら、妻の体から赤子を取り出しました。彼は、その子にアスクレピオスと名付けてケンタウルス族のケイロンに預けました。アスクレピオスは、後にギリシャ一の名医になりました。
アポロンは、決してカラスを許しませんでした。カラスから言葉を奪い、美しい白い羽を醜い黒に変えて、そのぶざまな姿をさらしものにするため天に上げて「からす座」としました。
「からす座」は、目の前の「コップ座」にくちばしが届かないように置かれました。のどが渇いても水がのめないようにとの罰でした。
星座名 | 烏(からす)座 |
学 名 | Corvus |
主 星 | アルキバ(4.0等星) クラズ(2.7等星) |
季 節 | 春の星座(20時正中 5月下旬) |
<カラス座の見つけ方> 北斗七星の柄からアルクトゥールス、スピカとつなぐ「春の大曲線」をそのままもう少し伸ばしたところ。おとめ座のスピカが見つかればその右下です。帆掛け船の帆のような特徴のある四角形は見つけやすいです。