トリチウム

トリチウムについて知っておきたいポイント

なぜいま「トリチウム」が話題になっているの? 福島第一原子力発電所のトリチウムを含む水の海洋放出が決まったことが背景にあります。トリチウムは放射線を出す性質があり、安全性を最優先に考えた処分方針が取られています。

トリチウムとは? トリチウムは水素の一種で、普通の水素と違い、原子構造が不安定です。この不安定性から放射線を出し、ヘリウムに変化します。変化した後は放射線を出さなくなります。人工的に発生するだけでなく、宇宙線との相互作用により自然界にも存在します。普通の水と同じように水蒸気や雨水、海水、水道水、河川水に含まれており、私たちが摂取する水や食べ物にも含まれています。

福島第一原発のトリチウム問題 福島第一原子力発電所の事故で生じた冷却水には、放射性物質が含まれています。多くの放射性物質は取り除かれますが、トリチウムは取り除くことが難しく、ためられたままでは貯蔵容量の限界を超える恐れがありました。政府と専門家による議論や地元意見を考慮し、海洋放出が処分方針として決定されました。

大部分の放射性物質は多核種除去設備(ALPS)で取り除いていますが、トリチウムは取り除くことができず、排水をタンクにためてきました=写真参照。このまま何もせずにため続けると、2022年秋以降、タンクの容量は上限を超えてしまいます。それを避けるためには、早期に処分方法を決定する必要がありました。

海洋放出への対応 タンクにためた排水をどのように処分するかについて、政府は専門家との議論を重ね、地元自治体や農林水産業者を中心に意見を聞きながら検討を進めてきました。その結果、2021年4月に海洋放出による処分方針を決定しました。それを受け、東京電力は2023年をめどに海底トンネルを通して、海水で十分にうすめた処理水を約1キロメートル沖合へ放出する計画です=図1参照 この方法は、安全性と環境への影響を最小限に抑えるために選ばれました。ただし、適切な監視と報告体制が必要です。

結論 トリチウムは水素の一種で、放射線を出す性質があるため、適切な処理が必要です。福島第一原発の事故から生じたトリチウムを含む冷却水の海洋放出は、多くの検討を経て安全性を確保しつつ行われる予定です。政府や専門家の意見、地元の声を尊重しながら、環境への影響を最小限に抑えた方法を選択することが重要です。

 

参考文献・図表:電波新聞より

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