ナッジ
ナッジ理論は2008年に、米国の経済学者のリチャード・セイラー教授と法学者のキャス・サンスティーン教授によって提唱されました。英語でナッジ(nudge)の意味は「ひじで小突く」「そっと押して動かす」の意味。また、行動変容をそっと促すナッジは、しばしば母ゾウが子ゾウを鼻でやさしく押し動かすようすに例えられます。
ナッジとは、相手に選択の自由を残しつつ、より良い選択を気分良く選べるように促すことです。人間の意思決定の癖を利用したものであり、相手に命令することなく、お金をかけずに実行することができます。現在、日常生活や教育、医療だけでなくビジネスにも応用できるものとして注目されています。具体的な活用例としては以下のようなものがあります。
1.もっとも有名なナッジの事例は1999年、アムステルダム・スキポール空港の小便器の「ハエ」のナッジせす。公共トイレを清潔に保つために、ハエの絵を小便器の底に貼り付けたことで、利用者の飛沫を80%減らしました。制約措置だけでは不十分と考えられていた課題をナッジでいとも簡単に解決した成功事例です。
2.階段のそばにエスカレーターやエレベーターがあると、つい楽をしたくなりそちらを選んでしまうものです。この例では、階段を鍵盤に見立て、足を乗せると実際に音が鳴る仕掛けを施すことで「楽しそう」「登ってみたい」という気持ちを引き出すことに成功しました。
3.煙草のポイ捨てを防ぐために用意されたのが「吸い殻で投票するゴミ箱」。こちらのゴミ箱の中は2つの空間に分かれており、投入口も2か所ある。「世界最高のサッカー選手はロナウド?メッシ?」といった2択の質問が用意されており、自分が投票したい答えが書かれているほうの投入口から吸い殻を投入するという仕組みです。
コメントを残す