災害ボランティア その2
前回は「災害ボランティア」の概要を書きました。日本は地震や豪雨、竜巻、津波や川の氾濫等の災害が多い国で、毎年どこかでその災害がニュースとなっています。 地震も被害が大きく、家の外も室内もクシャグシャで復旧復興が大変だが、水害はもっと半端なく厄介な災害だ。何故なら、建物が壊れるだけでなく、布団や家具類はもちろん、家の形は残しても床下や壁の中まで泥が残り、それは数日で固まり始め、畳を外した縁の下へ降りてスコップで泥かきしたが、木の枠があるからその中へ人一人入ってスコップで泥を掘り起こし、土嚢へ詰めて外へ運び出す。1日で腰や背中がやられ、翌朝の起床が辛かった。それでも続けなければ先へ進めない。畳も家具も全て廃棄する。
見つかった写真のアルバムも泥だらけだが、ご家族に取って大切なもので捨てるわけにいかず、一枚一枚丁寧に剥がして洗い、新聞紙に挟んで乾かす仕事も大変な時間を要し、それ専門の担当者も必要だった。
1軒の家に5〜6人のボラが入り、片付けだけで3〜4日かかるのだから、町中の家を復旧させるにはかなりのボランティアやトラックや一輪車や土嚢が長期間必要だ。
私は遠いところでは、川崎から岩手県や九州の南阿蘇山や熊本まで行って活動してきた。現地までの交通費や宿泊費用は全て自腹。1回5〜10万円位はかかっている。ある友人から「それだけ費用を掛けて2〜3日、せいぜい5日間の手伝いなら、現地へ行かずにその費用分を寄付すれば良いのに」と言われたことがある。私は即言い返す。「災害ボランティアの価値は、泥かきだけじゃないのさ。被災した現地の人々の心に寄り添う事も大切な役割なのだ。つまりお金じゃなく「Show the flag」なんだよ。被災地の人々は応援に来てくれた。被災の現状はメディアの報道だけでは伝えきれないものが多いから、現状を現地で見て全国へ伝えてくれる」ということが被災した人々の心を癒し励まして復旧復興の元気を取り戻すのさ」。それは実際に被災地で活動したボランティアは全員感じたはずだ。
昼間作業したボラたちはボランティアセンターに戻って現地の状況を報告し、翌日以降の必要な作業や道具の打ち合わせをして解散する。 夜はその仲間たちは連れ合って近くで「お疲れ飲み会」となる。その繋がりは、他の被災地で再会したり、又他の被災地へ先発隊で行った仲間が他の人へ連絡し「いつ来るの!」とリクエストする。「OKそれじゃ明日出発するよ!」となることが多い。その仲間の輪は価値があり楽しくやり甲斐を共有し合っている。つまり皆ボラのリピーターになってしまうのだ。
<前回少し述べた、災害ボランティアの心得(鉄則)を補足で述べます>
- 災害は起きた後、現地の状況(ニーズ)は日々変化しているので、必ずまずニュースや現地のWEBサイトをチェックして刻々変わる情報をチェックし、現地へ向かうタイミングを測る。
- そして現地のボランティア団体に問い合わせて、受け入れ許可をもらい、出発する。センターの仕事は忙しいので余計な手間をおかけしないように、手短な電話かメールで済ます。
- 必需品:底に鉄板の入った長靴、ヘルメット、手袋、身分証明書、災害ボランティア保険加入証、長袖などの着替え等。
- 禁止事項:被災した個人の家が特定できる部分の撮影は禁止。しかし許可が得られればOK。ただしネット拡散も許可が必要。
- 現地での衣食住はできる限り自分で調べて確保する。
- 怪我や病気の無いように自身で気をつける。自己責任。一緒に活動する仲間と助け合い協力し合う。
- 被災現地の状況を友人や全国の人々へ丁寧に伝え、応援の輪を広げる。
- 被災地の状況により、現地までの有料道路料金が免除されることがある。その事が分かった場合は、現地のセンターのボランティア受け入れ証明書を発行してもらい、それを自分の住所の役所へ提出すると、無料証明書が得られる。
- ボラセンターでは朝礼、終礼がある。その指示で活動する。勝手な活動はトラブルの原因になる。ボラを偽って「空き巣」の事例もあるので。
**以上が基本的注意事項。その他、現地の状況でその他の約束事もありうるので、現地センターのネットや経験者のSNSなどをチェックして調べる。
<私のボラ2011〜2022の経験場所、順不同>
1、2011岩手太平洋側の津波災害(釜石、大槌町、大船渡、他)事務局仕事も。
2、益子の竜巻 3、鹿沼、佐野市の水害 4、山梨の雪害 5、館山の豪雨
6、南阿蘇の地震 7、熊本の地震 8、岡山県真備町の水害 9、福島地震
10、その他、2011の頃、私は仲間と東京ボランティア事務所を設立して説明会を何度も実施し、現地へボラの送り込みもしました。
**災害ボランティアは大変やり甲斐を感じ、何処へでも何度でも行く気持ちが生じます。お勤めの会社によっては、ボラを奨励し、ボラ休暇をくれる会社も多いです。
**各県のボランティアセンターが他県の災害に対する応援で、無料の送迎バスを出す事も多いですので、問い合わせて皆さんと一緒に行く事も良いです。
皆さん、どこかで災害発生時、ご都合のつく方は是非現地へ行ってお手伝いしましょう。
東賢太郎 5号館 74歳、自営業、