ブックレビュー「木挽町のあだ討ち」永井紗耶子著 新潮社刊

いろいろな顔を持つ時代小説である。

語り口がよい。木挽町のあだ討ちについて、顔の見えない登場人物があだ討ちを目撃した人たちに当時の状況を聞き回る筋立てになっている。多彩な人物が答えるのだが、あだ討ちについてだけでなく、自分の身の上についても饒舌なほど語る。

それが最後にすべて絡み合ってミステリーが完結する。そうこの小説は時代劇の舞台で繰り広げられるミステリーなのだ。

読んでいる間、江戸の人情に触れる至福を感じることだろう。 

 

 

以下は新潮社から

ある雪の降る夜に芝居小屋のすぐそばで、美しい若衆・菊之助による仇討ちがみごとに成し遂げられた。父親を殺めた下男を斬り、その血まみれの首を高くかかげた快挙は多くの人々から賞賛された。二年の後、菊之助の縁者という侍が仇討ちの顛末を知りたいと、芝居小屋を訪れるが――。現代人の心を揺さぶり勇気づける令和の革命的傑作誕生!

受賞
第169回 直木三十五賞
第36回 山本周五郎賞

 

AY

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