ベトナム旅行記 第11章

31.あやしいタクシーに乗る

ホテルから王宮までは、ホテルが呼んでくれたタクシーで行った。料金は 40,000 ドン(240円)である。帰りに Grab でタクシーを呼ぼうとしていると、すぐそばに停車しているタクシーの運転手が「これもGrab タクシーだ」と訳の分からないことを言ってくる。雨も降っていることだし、この誘いに乗ることにした。念のため値段を聞くと、70,000 ドンとのこと。「それなら乗らない」というと「60,000 ドンでいい」という。面倒なので、これで了解する。

タクシーに乗り込むと案の定メーターがない。本当に 60,000 ドンで行ってくれるのか不安

がよぎる。「もし、運転手が 60,000 ドン以上を要求してきたら、私は日本語でどなりちらしますよ」とあらかじめ K 氏に耳うちしておく。結果的には、60,000 ドンで済んだ(男 2 人には対抗できないと思ったのかも)。来るときよりも 20,000 ドン、Grab タクシーよりも 40,000 ドン高くついたが、日本円にすれば 120 円から 240 円のこと。「ボラれた」というほどのことでもあるまい。

 

32.絢爛豪華なカイディン帝廟

フエの郊外には、グエン朝の皇帝の墓が点在している。これらを訪れるため、ホイアンからフエまでお世話になった車をチャーターすることにした(チャーター料金は 1 時間 1,200円)。

カイディン帝廟とミンマン帝廟の 2か所に行ったが、前者の皇帝像およびその周辺は、金箔、磁器、ガラスなどを使い絢爛豪華な作りになっている。この様子を出発前にYouTube でみて感動し、これがフエにくる動機付けとなった。

 

 

33.焼身自殺を遂げた僧侶

2 つの帝廟を見たあとは、高さ 21m の仏塔で有名なティエンム寺にむかう。駐車場の周りは土産物屋だらけだ。多少日本語が通用する。

寺の一角に、ブルーの車がおいてあり、ここでは観光ガイドが長々と解説をしている。一体何なのか調べてみると、1963 年この寺の住職(ティック・クアン・ドック)がこのブルーの車に乗ってサイゴン(現在のホーチミン)まで行き、そこでガソリンを浴びて焼身自殺を遂げたとのこと。政府(南ベトナムのゴ・ディン・ジエム政権)の仏教徒弾圧に対する抗議であった。

焼身自殺は、自殺の方法としては最も苦痛に満ちたものと言われる。その時の様子はビデオ撮影されていて、今でも見ることができる。多くの僧侶に囲まれる中、ガソリンを若い僧侶にかけさせ火をつけさせる。周辺の僧侶は読経を続け、ドックはまったく姿勢を崩さない。そして 40 秒後に崩れ落ちた。

この出来事は日本を含む世界で大々的に報じられた。私はあまり記憶にないが、数年先輩のK 氏はよく覚えているとのことであった。

 

(第12章へ続く)

HS

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