ボクのロンドン滞在記~シン日英同盟めざして~ (その8) リケジョのオフィス
(前回まで)月曜に大学へ初出勤して打合せ。前任者はもうすぐ離任してしまう。不安にかられる筆者、しかし、すぐに「なんとかなるやろ」と思い直す。自宅のフラットへ続く坂道がとてもきつい・・・・
6月28日火曜 快晴
出勤して、懸念したとおりIDカードの準備が完了してないことが分かりました。なんとなくこの辺の予感が働いていました。海外では、日本のようにものごとがきちんと進みません。そこで日本人はイライラすることが多いのですが、そこは日本でないことを思い起こすべきなのです。
さて、わがチームのエルちゃん曰く、今日データ入力しておくので明日、発行できるはずだとのこと。
率直に言って、そんなこともっと事前にやっておいてほしかったな・・・そんなに大変な作業でないはずなのに・・・と思うものの、そんなことはおくびにも出さず、
「かならずお願いしますね」
と言って、明るく微笑みます。
午前中、前任のTちゃんと打合せです。
今週は、金曜に我々がプレゼンを行い、そのあと出席者との質疑応答が予定されています。
そのシナリオをおおまかに決めます。
その上で、資料の骨子を取り決めます。そして資料の細部を仕上げていきます。
Tちゃんはぼくよりふたまわり近く若いのですが、非常に優秀です。
したがって、彼のアイデアを積極的に採り入れて進めることにしています。
仕事は、若い人にどんどん任せるべきと言うのがボクの考えです。
またITにもくわしく、英国の携帯電話会社のSIMを延長して使えるように手続きしてくれました。
それは、英語で電話の音声ガイドを聞きながら、番号を押して処理するのだから1人ではとうてい無理だったことでしょう。こんなこと、彼は(おそらく日本の若者たちはほとんど)苦もなくやってのけます。
職場では、医療ビジネスチーム長のエム女史と初めてあいさつできました。
また非医療チームのフラン女史とも顔合わせしました。
2人の女性ともに笑顔が印象的です。そして、
「ビデオ会議で会ってますよね」
とすごくフレンドリーで明るい。
こういうとき、こちらに来てよかったと思います。
なぜなら、直接相手の表情を見ながらダイレクトに話をすることで、意思の疎通がスムーズにできるからです。
日英間のビデオ会議では英語も聴き取りにくく、表情もわかりづらいのです。
それでは、コミュニケーションの半分もうまくできません。
このオフィスの職員の7割は女性で占められています。そのほとんどが理化学系の博士課程を経たリケジョです。
キャンパスや食堂では、多くの女子学生もみかけます。
オフィス内にポスターが貼ってあり、
「本学のリケ女たちが未来を元気にする」
といったようなメッセージが書かれていました。
ちなみにこの大学は理工・医学系なのです
(ただしビジネススクールも併設されていますが)。
(つづく)
風戸 俊城
ハイム在住。現役時代は中東、東南アジアの4か国に駐在し、40年勤務した後、現在は英国と日本を結ぶ知財プロモーターとして働く。経済・産業分野の翻訳業も手がける。