ソメイヨシノ(染井吉野)

ソメイヨシノ染井吉野)は、母をエドヒガン、父を日本固有種のオオシマザクラの雑種とする交配で生まれた日本産の栽培品種のサクラである。遺伝子研究の結果、1995年にソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラの雑種が交雑してできた単一の樹を始源とする、栽培品種のクローンであることが明らかにされた

日本では、サクラは固有種を含んだ10もしくは11の基本の野生種を基に、これらの変種を合わせて100種以上の自生種がある。さらに、これらから古来から改良開発されてきた栽培品種が200種以上あり分類によっては600種とも言われる品種が確認されている

これら多品種のサクラのうち、ソメイヨシノは江戸時代後期に開発され、昭和の高度経済成長期にかけて日本全国で圧倒的に多く植えられた。このため今日では気象庁が沖縄県以東、札幌以西の各地のサクラの開花・満開を判断する「標本木」としているなど、現代の観賞用のサクラの代表種となっており、単に「サクラ」と言えばこの品種を指す事が多い。

命名の由来
江戸時代末期から明治初期に、染井村(現在の東京都豊島区駒込・巣鴨付近)に集落を作っていた造園師や植木職人達によって育成された。初め、サクラの名所として古来名高く、西行法師の和歌にも度々詠まれた大和の吉野山(奈良県山岳部)にちなんで、「吉野」「吉野桜」として売られ、広まったが、藤野寄命による上野公園のサクラの調査によって、ヤマザクラとは異なる種のサクラであることが分かり(1900年)、この名称では吉野山に多いヤマザクラと混同される恐れがあった。このため、『日本園芸雑誌』において染井村の名を取り「染井吉野」と命名したという。翌年(1901年)、松村任三が学名「Prunus × yedoensis」(読み方はプルヌス・エドエンシス)と付けた。

特徴 外見的特徴と花期

樹勢を横に大きく広げたソメイヨシノ(篠山川堤防). 古木になるほど枝を横に広げ、枝垂れてくる。

樹形は横に大きく広がる傘状。花弁は5枚で葉が出る前に花が開き、満開となる。開花期は九州・四国地方で3月下旬頃。花色は蕾では萼等も含めて濃い赤に見えるが、咲き始めは淡紅色で、満開になると白色に近づく。原種の一方であるエドヒガン系統と同じく満開時には花だけが密生して樹体全体を覆うが、エドヒガンよりも花が大きく、派手である。エドヒガン系統の花が葉より先に咲く性質とオオシマザクラの大きくて整った花形を併せ持った品種である。

ソメイヨシノ誕生以前に花見の主流だった野生種のヤマザクラより開花してから散るまでが速いと誤解されることも多いが、これはヤマザクラが野生種であり同地であっても花期に前後の幅があるのに対し、ソメイヨシノは栽培品種のクローンであり花期が同地では統一されていることから起きた誤解であり、単一の木で見れば、むしろソメイヨシノの方がヤマザクラより花期は長い

萼筒は紅色で、壺のような形をしている。樹高はおおよそ10-15 m。若い木から花を咲かすために非常に良く植えられている。実(サクランボ)は小さく、わずかに甘みもあるが、苦みと酸味が強いため、食用には向かない。

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