何かが一ヶ所にたくさん集まっている様を撮った写真がある。例えば、富良野のラベンダー畑。広々とした畑一面に紫色の絨毯が敷き詰められたような光景。あるいは、その隣にはピンク、黄、オレンジ、白などの帯がきれいに並んでいたりする。実にきれいだ。
一面に咲き乱れる花畑の背景に、建物や散策路そして歩く人々がもし写っていたとしたら、それは単なるスナップ写真である。ところが、びっしりと植わっている花に焦点を当てて、光と影をうまく使い、角度も慎重に考えて撮られたものは芸術作品にもなり得る。望遠レンズや広角レンズを使っているものもたくさんある。
さて、ものの美しさは本来、その「数」に直接関係はない。単独でも得もいわれぬ美しさを備えているものも当然ある。ところが、何でもないものでも一定の条件の下でその数が大量に集まった時にある種の「美」を作り出すことがある。大量に集まることで構図の面白さができる場合だ。このことは「集合の美」と言えるかもしれない。
この写真は野村さんが数年前に撮った作品のひとつである。かつて、多摩川を挟んで調布側と中野島側を結んでいた送電線にカワウが整然と並んでとまっている。「烏合の衆」ならぬ、これは「集合の鵜」といったところか。因みにこの送電線は、生田浄水場に電気を送るための送電線であったが既に撤去されて今はもうない。
この写真を見て「美」を感じるかどうかは個人差があると思うが、私自身は見た瞬間、「うわっ!」何とも言えない感動を覚えた。まるで、意図をもって並んだようにきれいに並んでいる。そう、小学校の運動会の隊列のように。
尚、「集合の美」という言葉は、私が勝手に感じたことであり、野村さんの解説の言葉に含まれていたものではりありません。
~つづく~
(八咫烏)

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