アナログライフ•エピソード~SUICAを忘れて・・・

5月のある日、月に一度の通院で都内まで出かけた。踏切の近くまで行ってSUICAを忘れたことに気がついたのだが、取りに帰るのが面倒でそのまま駅へ。今日一日は現金で切符を買うことを覚悟した。

現金で切符を買うのは何年ぶりのことか。おそらくは10年、いや20年ぶりかもしれない。いつも新宿経由で御茶ノ水まで行く。新宿までの料金を調べると570 円。千円札を出して所定の場所に投入する。切符が出てきて430円のお釣りを受け取ってから、はたと気がついた。

しまった! 小田急乗り換えなのにJRの切符を570円分買ってしまった。登戸までは140 円、このままで行くと430円の損をして、登戸駅で小田急、登戸〜新宿分を買うことになる。あ〜あ、何をやっているのか!SUICAを忘れさえしなければこんなことにはならなかったのに!

ふと駅員さんに相談しようかと思ったが、それよりもいい方法があると思いついた。JRだけで御茶ノ水まで行ける!そう、川崎経由で行けばいいのだ。路線情報で検索してみると、時間はほんの少し余分にかかるが問題はない。自分の失敗を取り戻すためには最善の策とばかりに直ぐに決心した。

乗車してから、再度検索して調べてみると最短は武蔵小杉駅経由のルートとなっている。ただ、乗り換え回数が多いこと、小杉駅での乗り換えのための徒歩時間が長いことから、川崎駅ルートを選択。

料金はどうか。中野島〜川崎〜御茶ノ水で561円と出た。これはデジタル料金だろうから切符では570円だろう。ぴったりだ。オールJRなら経由する駅が違っても料金に違いがないのは当たり前の話だ。下車しなければどのルートでも同じようだ。

出掛けにまずSUICAを忘れるという失敗をし、更に券売機で切符の買い方を間違えるという失敗を重ねたが、幸運もあって何とか最悪の状況を回避できたことにホッと胸を撫で下ろしながら改札を出て病院へと向かう。

診察を終えて、帰りは野暮用のため渋谷に立ち寄ることを決めていた。御茶ノ水駅の券売機で渋谷までの切符を買う。170円。200円を投入して30円のお釣りを受け取る。妙に新鮮だが今度はもう間違えない。というか間違えようがない。

マークシティで用を済ませたあとは、いつもの通りまず井の頭線で下北沢に、小田急乗り換えで登戸までというのが最短ルートだ。今度は京王渋谷駅で券売機へ。案内板を見て登戸駅の文字を探すがどこにも見当たらない。はて、どうなっているのだろうか?

今日は朝から失敗続きなので慎重になり、窓口に行って駅員さんに尋ねる。登戸まで行きたいのだけれど切符をどう買えばいいのか聞く。「ここでは登戸までは買えません。下北沢まで行って一旦下車して、そこで登戸まで買ってください」が返事だった。なんて日だ!(小峠風?)

この答えには愕然とした。これまでは同じルートをSUICAで利用していた。切符を買う手間はあっても登戸までも当然買えるものと思ったが事実はそうではなかった。SUICAやPASMOでの乗り換えのためのシステムは変更していても、切符には対応していないのだろうか。

いやそうではなかった。思い出した、下北沢駅が大きく変わったのだ。そういえば少し前に再開発され、たしか小田急が地下に潜ったのだった。以来、駅も駅周辺の商店街も様子はガラリと変わっているはずだが行ったことはなかった。変化に気づかず自分が遅れているのだ。

一瞬、これは鉄道会社のシステム管理の片手落ちではないかと勘違いしたがそうではなかった。SUICAかPASMOを持っている利用者は改札を一旦出ても、スムーズに行けるので以前の改札内での乗り換えとさして変わりない。しかし、切符を買って利用する客には不便になった。

事の起こりは自分の不注意なのだ。まずSUICAを家に置き忘れ、次に駅で切符の買い方に戸惑い、朝から2度失敗している。責任は自分にあるのだが、このことに無性に腹が立った。で、小さな抵抗を試みた。

素直に切符を買う気にはなれず、意地を張って別の路線で帰ることにする。少し歩いて田園都市線に乗り、武蔵溝ノ口経由のルートにした。この日でなくてもよかった用を済ませた後、乗り換えて帰宅した。(これはこれでプラスになったが)

SUICAはもう使い慣れて当たり前になっているが、今回のことでその便利さ快適さが身に染みて分かった。今日「切符は券売機で買うもの」というちょっと前の時代の常識に戻っただけのことであったが、今のデジタルライフの便利さはもう手放したくないと思った次第である。

「シニアでこそのデジタルライフ」シリーズでその便利さを説いていることもあるのでこのエピソードを書いたが、何を隠そう実態は、単にSUICAを忘れたことで次々と起きた不便の報告でした。恥ずかしさの極み。SUICAがデジタルライフなら、今日の出来事はアナログライフ•エピソードでした。

ヤタガラス

 

 

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