笑説「ハイムのひろば」47~後継者の発掘と技術の伝達

新しい読者、閲覧者のために、まず説明せねばならないだろう。「ハイムのひろば」とは、川崎市中野島にあるマンション・新多摩川ハイムの管理組合が所有するウェブサイト(ホームページ)のことである。約1年半の準備期間を経て2018年4月にオープンした。

西野敏彦がホームページ作成を始めたのは20年と少し前、たまたま旅行で訪れた英国のコッツウォルズに魅せられて、その感動を何かの形で残したい、他人に伝えたいと思ったことがきっかけだった。海外駐在を終えて帰国して間もない頃、パソコンが普及し始めていた。機械的な意味で興味があった西野は、当時世界で初めて開発・販売されたラップトップ・コンピューター・東芝ダイナブックを池袋のBカメラで予約して手に入れた。

画期的な技術の発展に驚きながらも当初は麻雀ゲームばかりしていた。暫くしてワープロや表計算ソフトに惹かれて行き、好奇心がむくむくと湧き上がっていった。そして、コンピュータに対する興味を決定的にしたのは、インターネット時代の幕開けだった。こんなに小さなマシーンから世界中を覗くことができるということに大きな興奮を覚えたのだ。

手に入れたPCを使って初めて作った旅行記サイトが、運よく旅行関係の雑誌で紹介された。まだ応募者も多くなかったのであろうが、気をよくした西野は、次々とテーマを変えてホームページの創作に勤しんだ。コンテストに応募しては賞をもらうのが楽しくてしかたがなかった。商品の中に高価なソフトPhotoshopが含まれていたこともあり、益々モチベーションが高まっていった。

以来20年あまり、西野はホームページの作り方に関する本を漁るように読んだ。それまでの人生には全くなかった新しい世界がそこにはあった。読めば読むほど新しい技術が次々と身についていく。部屋に本の置き場がなくなって、多くは図書館に引き取ってもらうことになった。

英文タイピングは大学の頃にクラブ活動で身に着けていたので苦にならず、ホームページ作りに役に立った。ただ、所謂文学青年ではなかったし、文章を書くこと自体はそれほど好きでもなかったが、ホームページ作りのためにはたくさんの文章を書かざるを得なくなった。そんなとき友人のトラベルライターの文章が参考になった。

さて、ホームページ「ハイムのひろば」の将来を思うと、これを技術的に維持管理する後継者がどうしても必要である。文章を書く才能のある人は大勢いるし、ボランティア精神旺盛な人も大勢いよう。しかし、運営サイトにトラブルが起きた時には、比較的短時間での修復が必要だがその技術を持つ人はなかなかいない。

自分のブログを持ち維持している人はいても、多くは何処かの会社が提供しているシステムを利用している場合が多い。WordPressを利用して、一から作っている人は(西野の周辺では)あまり見かけない。いや、もし詳しい人がいたとしても、現役世代の場合ボランティアで参加してもらうことは難しいであろう。

6年前、WordPressの使い方を覚えてもらうための講座を開いた。依頼されたサイト作りの要点は、単独ではなく複数の人で管理できるものにしてほしいということであった。それまで利用されていたソフトはヒット商品「ホームページビルダー」で、多くの人に支持され利用されていた。

西野自身もその一人だったが、「WordPress」に出会ってからはこれ一辺倒になっていった。Wordが使える人、メールを使える人なら誰でも簡単に使えるのがいいところだ。

WordPressの最も大きな特徴は、複数の人が管理できることとWeb上で編集できるということである。この点で、託された仕事にぴったりのWordPressを知っていたことは幸運であった。当時この活動にボランティアとして参加してくれた人は10数名いた。週に一度2時間ほどの講習会であったが、みな熱心に受講してくれた。その中には、未経験のため自信がなさそうではあるが、時々遠慮がちに質問をする生徒さんもいた。技術的なことを中途半端に知っているよりも、初心者でもこれから学びたいという意欲のある人の方が望まれる。

一時都合でチームから離れていた西野が半年ぶりに戻った時、はっきりそれとわかる成長をしているメンバーがいた。一人は個人でサーバーと契約し自分専用のサイトを作り上げていた。ここまでくればもうしめたもので立派な中級者となっており、ある程度のことは任せられる。ワードプレスのワの字も知らなかった人が、短期間でサイトを構築できるまでになっことに西野は感動を覚えた。この初期講座がきっかけでホームページ作りを楽しいと感じてもらえることができたことはとても喜ばしいことだ。

西野と協力して一緒に立ち上げたメンバーにも老齢化の波が襲ってきている。今後は、さらに続く後継者の発掘と技術の伝達に努めなければならない。そのためにもまず、ハイムのひろば作りに一緒に参加したいと思ってもらえる、もっともっと魅力的なサイトにすることが使命だと思っている。

蓬城 新

 

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