冬の星座~こいぬ座

忠犬メーラ
アテナイの北、土壌の豊かなイカリアの地を治める王イカリオスがいた。イカリオスは酒神バッカスを信仰していたためバッカスは彼にぶどうの木を与え、酒の作り方を教えた。その酒の味たるや何とも心地よいもので、イカリオスは領地の農民たちにも分け与えようと酒を造り皆を呼んで振舞った。

当時、ギリシャでは酒は水で薄めて飲むのが普通だったのだが、農民たちはその酒を生のまま飲んでしまい、大いに酔っぱらってしまった。農民たちは身体が熱くなりふらふらし始めたので、これはイカリオスに毒を飲まされたと勘違いしてしまった。怒った農民たちはイカリオスをバラバラに引き裂いて殺し、一本の木の下に埋めてしまった。

そのころ、王女エーリゴネーは父が酒の袋を持って出かけたまま疾走してしまったのをしきりに心配し、イカリオスの飼っていた忠犬メーラを連れて方々を巡って尋ね歩いていた。長い間探し続けた末、一本のブドウの木の側を通りかかった。するとメーラが突然騒ぎ始めぶどうの木に体をすり寄せたのである。

これを見たエーリゴネーは即座にその意味を知った。このぶどうの木こそイカリオスの亡骸が埋められた場所なのだと。父の死を知ったエーリゴネーは絶望し、その木の枝に縄をかけ首をくくって死んでしまった。

イカリオスに尽くし、エーリゴネーを守り続けた忠犬メーラは、二人の死後もその亡骸の側を離れることなく自分が死ぬまでそこにたたずんでいたという。

この忠節を讃えられ、メーラは死後天に昇って「こいぬ座」になったという。その後、このイカリアの地には、疫病が流行し飢饉が訪れた。人々が神託を伺うと、「イカリオスとエーリゴネーの亡骸を祀り、贖罪の浄めをしなければならない」ということだった。そこで人々は毎年、ぶどうの木に面や人形をぶらさげ、イカリオス親子を祀るようになった。これがアイオーラーの祭式としてのちの世に続いていったという。(出典:「星空の神々-全店88星座の神話・伝承」)

星座名 子犬座
学 名 Canis Minor
主 星

アケルナルプロキオン(0.4等級)
冬の大三角のひとつ

季 節 冬の星座(20時正中 3月中旬)

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