冬の星座~エリダヌス座

エリダヌス座は晩秋から冬にかけて南の地平線近く、オリオン座の足下あたりに見られる星座である。エリダヌスとはギリシャ神話の川の神で、北イタリアのパドゥス川(現在のポー川)がその川だと言われている。

星座の形はうねる川を模したZ形をしており大きさもかなりのものなのだが、主星である1等星アケルナル(川の果て意味)日本では鹿児島より南に行かないと見ることが出来ず、ほかに目立つ星もあまりないので馴染みはないかもしれない。

星図ではそのまま流れる川の形として描かれる。また、面白いことに、エリダヌス座はエジプトではナイル川、バビロニアではユーフラテス川と、他の多くの文明でも川としてとらえられている。この星座に」何故エリダヌスの名がついたのかは正確なところは不明である。だが、夜空のこの辺りには、エリダヌス座のほかにも、やぎ座、いるか座、みずがめ座、南のうお座、くじら座、おうし座、など水に関係した星座が集まっている。古代ギリシャでは、夜空のこの辺りを「海」とみていたらしく、そうするとこの星座にエリダヌス川を模した星座を配置sたのは自然のことだったのかもしれない。神話では、エリダヌス川は太陽神アポロンの息子、パエトーンが天を駆ける太陽を弾く馬車から落ちた川だと言われている。

琥珀となった涙
太陽神アポロンの息子にパエトーンという少年がいた。彼は自分がアポロンの息子ということに誇りを持っていたが、友人の誰もそのことを信じようとしない為、アポロンの宮殿に出かけて行き自分が太陽神の息子であることを証明しようとした。アポロンは、パエトーンを自分の息子だと認め、証拠として、何でも望みを一つ叶えてやろうと言った。するとパエトーンは友人たちに証明するため、太陽を曳く馬車を操らせてほしいと頼んだ。

アポロンはこの申し出に渋い顔をした。太陽を曳く馬は非常に気性が荒く、アポロン以外では神々でさえ乗りこなすことは出来なかったからである。だがパエトーンはアポロンの言葉を盾に取り太陽を曳く馬車を借り大空へと飛び出した。

はじめのうちは順調に馬車を走らせていたが、そのうち馬たちは手綱を取るのがアポロンではないことに気つくや途端に暴れ始めた。馬車は太陽の通り道である黄道を外れて無茶苦茶に走り始め、近づくものすべてを太陽の熱で焼き焦がした。このままでは世界が全て焼き尽くされかねないと大神ゼウスは雷光を放ってパエトーンを撃ち殺した。

パエトーンの亡骸は馬車から転げ、そして落ちて行ったのがエリダヌス川であった。パエトーンの亡骸はひどく焼け焦げ見るも無残な有様であった。水の精女たちがパエトーンの亡骸を拾い上げ葬ったが、パエト-ンの姉妹であるヘーリアデスたち(アポロンとエチオピア王妃クリュメネーの5人の娘)はパエトーンの死を悼み、墓の上に伏していつまでも泣き続けたという。

やがてヘーリアデスたちの身体はポプラの木へと変じて墓の上に宿り、流れ落ちた涙は琥珀となってエリダヌス川の底に沈んだのである。実際、アドリア海に注ぐバドゥス川の河口付近では琥珀を産出したため、このような神話が生まれたと思われる。

星座名 エリダヌス座  
学 名 Eridanus

主 星

アケルナル(0.5等級)
クルサ(2.8等級)

季 節 冬の星座(20時正中 1月中旬)

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