冬の星座~おおかみ座

おおかみ座はケンタウルス座のすぐ東にある、小さな星が集まって出来た星座である。星座としての大きさは中くらいで、形はやや竿立ちとなった細身の四足動物を横から見たところ、という感じである。ギリシャでは古くから知られており、当時は単に「セリオン(野獣)」と呼ばれていた。

星図では、ケンタウルス座につかまれていたり、あるいはケンタウルス座の持つ槍に貫かれている姿で描かれることもある。このことからおおかみ座はケンタウルス座の一部とみられたり、あるいはケンタウルス座が神々に捧げる供物の動物としてみられ、「ホステイア(犠牲)」「ヴィクテイマ・ケンタウリ(ケンタウルスの犠牲)」と呼ばれることもあった。

地平線ギリギリにあるため、東京から最も見やすい7月頃でも星座の下3分の一は地平線の下に沈んでしまう。日本の多くの地域では高く昇らないので目立たず、九州以南でなければ全体を見られない。

この星座の由来を伝えるギリシャ神話はない。19世紀末のアメリカのアマチュア博物学者リチャード・ヒンクリー・アレンは、以下の説を紹介しているが、後世の後付けとされてい

おおかみ人間の一族
アルカディア地方にリュカオーンという王がいた。王は数多くの女性たちとの間に50人の息子と1人の娘を設けたが、息子たちはみな高慢で意地が悪く、アルカディアの民を苦しめていた。その悪評を耳にしたゼウスは、彼らがどれほどの悪人か試すため、旅人に姿をけて宮殿を訪れた。

息子たちは、リュオカーンの孫のアルカス(こぐま座)を殺し、その臓腑を抜き取って料理に混ぜゼウスをもてなした。このあまりに非道な行いに激怒したゼウスは正体を現し、驚いて逃げ惑う息子たちを、最も幼かったニュクテォモスを除きすべて雷を投げつけて殺してしまった。ゼウスはリュオカーンを捕らえ、この行いの共犯者として罰を与えた。その残虐非道な性質に相応しい生き物つまり狼に変えてしまったのである。この狼が天に昇っておおかみ座となった。尚、この時死んだアルカスはゼウスによって蘇った。

この事件以降、リュオカーンの一族は深く神を敬うようになり、リュカイオス山にゼウスのための祭壇が造られた。この祭壇(ゼウス・リュカイオス)は実在しており、古代においては、人身御供を捧げる習慣も本当にあったと言われている。
リュオカーンのたった一人の娘とは、月の処女神アルテミス(或いは女神ヘラ)の不興を買いおおぐま座となったカリストーである。さらにその末裔にあたるアタランテはアフロディテによってライオンに変えられている。どうもリュオカーンの一族は、獣に変えられる運命にあるようだ。

 

星座名 おおかみ座  
学 名 Lupus

主 星

固有名のある恒星はない。2等星のα星以外にも3等星が6つある。また、西暦1006年におおかみ座領域に超新星 (SN 1006) が出現したことが記録されている。

季 節 夏の星座(20時南中 7月)

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