冬の星座~オリオン座

オリオン座は数ある星座の中でも、北斗七星と並んで最も馴染みのある星座である。冬の南の空を眺めれば、ミンタカ、アルニラム、アルニタクの3つの2等星が一直線に並ぶ有名な「オリオンの三星」を中心として、棍棒を振り上げ、盾(或いは獅子の毛皮とも言われるをかまえる勇壮な青年の姿がまざまざと浮かび上がる、非常に美しい星座である。

冬の夜空でひときわ目立つ星座のためか、ギリシャ以外の多くの地域でもこの星座を神や勇者になぞらえることが多い。ギリシャ神話では巨人にして優れた腕を持つ狩人オリオンとされているが、古代アッシリアでは、農業の神タンムーズの姿とされ、スカンディナビアでは巨人オルワンデル、首狩り族として有名なボルネオのダイア族は天女と結ばれた片腕のない男として見ている。

また、オリオン座を獣の姿としてとらえたところもある。中国では4つ足で踏ん張っている白い虎、インドでは、月神ソーマの妻となった赤鹿ロヒニーの父ーとしてプラジャバティーとされ、「三星」は狩人ムリガ・ヤードハがプラジャバティーを射止めた三本の矢としている。日本でもオリオン座はさまざまな名で呼ばれている。まず星座全体として「鼓星」、三星をさして「三光」「親孝行星」「親担い星」等が一般的な呼び名である。

オリオン座の二つの一等星、α性のペテルギウスとβ星のリゲルも有名な星だ。ペテルギウスとおおいぬ座のα星シリウス、こいぬ座のα星プロキオンを結ぶと冬の空に巨大な正三角形が「冬の大三角形」が出来上がる。また、日本では、ペテルギウスは赤みがかったオレンジ色、リゲルは青白い光を放っているため、平家の赤旗、源氏の白旗に当てはめて平家星、源氏星とも呼ばれている。

先に述べたようにギリシャ神話では、オリオン座は巨人の狩人オリオンとされているが、これに関連して、南東の隣にあるおおいぬ座はオリオンが飼っていた猟犬というのが一般的な説である。

うさぎ座はオリオン座の足下に位置する星座である。形は三角形の胴体に二本の長い耳を持ち、小走りに走る兎の形をうまくあらわしている。大きさとしては中程度だが、暗い星ばかりなのでほとんど目立たない。兎はオリオンが最も好んだ獲物とされており、そのためにこの場所に置かれたのだろう。残念ながら独自の伝承は伝わっていない。

狩人オリオン
オリオンは海神ポセイドンとミノス王の娘エウリュアレー(大地母神ガイアとの説もあるの間に生まれた英雄であった。オリオンは人並外れた巨躯と類稀な美しさを持ち、優れた狩人としてその名を馳せていた。あるときオリオンはキオス島の王オイノピオンの娘メロペを見初め、結婚を申し込んだ。だが、オイノピオンはオリオンを快く思わなかったので、「この島を荒らしている大獅子を退治してくれたら娘との結婚を認める」と言った。

オリオンにとっては、その程度のことは造作もなかった。オリオンはたちまち大獅子を退治してしまい、獲物を捧げて結婚を迫った。困り果てたオイノピオンは一計を案じた。オリオンを酒席に招いて酔いつぶし、両目をつぶして海岸に放り出してしまったのである。(酒に酔ったオリオンがメロペに乱暴を働いたためとの説もある)オイノピオンは酒神バッカスの子といわれ、人間に初めて赤いブドウ酒の造り方を教えた人物とされている。

オリオンの苦難
さて、目が見えなくなったオリオンは、「東の国へ行き、朝日の光を目に受ければ再び目が見えるようになる」という神託を受けた。そこでオリオンは耳を澄まし、レームノス島にある鍛冶の神ヘパイストスの鍜治場の音を聞き分け、海を渡って(彼は海底を歩いても頭は海の上に出るほどの巨人だった)やって来た。

鍜治場にはヘパイストスの工人、少年ケダリオンがいた。オリオンはケダリオンを肩に乗せ、彼の誘導で東の国へと向かった。やがて東の国に辿り着いたオリオンは日の神ヘリオスと出会い、その光を目に受けてようたく視力を取り戻した。オリオンはオイノピオンに復讐するためキオス島に向かったが、オリオンがやって来ることを知ったオイノピオンはヘパイストスが造った地下室へ隠れてしまった。王に忠実だった島民たちも決して彼の居場所を口にしなかったので、オリオンは復習を諦めざるを得なかった。

オリオンの死
その後、オリオンはクレタ島に亘り、月の処女神アルテミスと出会った。オリオンは暫くの間アルテミスと暮らしともに狩りなどをして楽しんだ。あるとき自分の狩りの腕前に気をよくして慢心したオリオンは「おれはこの世のありとあらゆる獣をことごとく射止めてみせる」と口走ってしまった。この言葉を聞いたガイアはオリオンの大地に対する不敬に大いに立腹し、一匹の大蠍(さそり)を遣わして彼を毒の尻尾で刺し殺させたのです。

その死を悲しんだアルテミスは、オリオンを天に昇らせ星にしたのでした。これがオリオン座です。しかし、さそり座が昇る頃になると沈み始めるのは今でも蠍を恐れているからです。

星座名 オリオン座  
学 名 Orion
主 星

ベテルギウス(変光星0.4~1.3等級)冬の大三角のひとつ

リゲル(重星 0.1/6.8等級)

季 節 冬の星座(20時正中 2月上旬)

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