ベトナム旅行記 第4章

10.ハノイの交通事情

「ベトナムはオートバイが多くて、道路の横断が大変だ」という話をよく聞く。それは、想像以上だった。バイクだけではない、車、自転車、それに観光用のシクロ(自転車の前に2人がけのベンチをつけたもの)が混然一体となって走っている。しかも、右側通行なので横断するときはまず右ではなく左を見てというの

が、左側通行に慣れている日本人にはなじめない。横断歩道があっても、車が人を見て止まってくれるということもない(一応、それなりに注意している感じはあるが)。

それに加え、ハノイの旧市街は道幅が狭い。日本なら一方通行にするような道幅のところを対面通行にしているので、すれ違いはほんとギリギリ。対向車との間隔が20㎝位しかない状況でもすれ違う。車に乗っていると、自分で運転していないのに、身体が緊張で硬くなってしまうほどだ。私の経験からすると、世界一車の運転が難しい街と言っていい。

 

11.フランス語と英語どちらが通じる?

ベトナムは、日本が進駐する前はフランス領であった。従って、英語よりはフランス語の方が通じるのではないかと想像していた。しかし、道路標識、観光案内等はほとんどがベトナム語と英語の2か国語表記で、フランス語は登場しない。

もっとも、フランスの影響がないわけではない。もともとベトナムでは文字として漢字を使っていた。それに加え、日本がひらがなを使っているように、複雑な独自の文字(チューノム)を使ってベトナム語を表記していた。これに対して、フランスは自らの影響力を強めるため、アルファベットでベトナム語を表記する政策をとった。これは、結果的には大成功した。なぜなら、漢字およびチューノムはあまりにも難しく一般国民がマスターできなかったのに対し、アルファベットは数が少なく覚えやすいからだ。

ベトナム語と英語の2か国語表示が多いとはいえ、一般のベトナム人は英語が話せない。したがって、外国人相手の商売をする人は、スマホの翻訳アプリを使っている人が多い。

 

12.Grab タクシー

ハノイ到着の翌朝、ハノイでおそらく最大のみどころと思われるホーチミン廟に行くことにした。日本にいる時から WhatsApp でやり取りし、日本からのお土産をプレゼントしたジルさんは、「すぐにタクシーを手配しますね」と言ってくれる。「いやいや、実は Grab タクシーを使ってみたい。初めてなので、一緒にスマホのアプリを操作してくれませんか?」と言うと、手助けしてくれた。

まずは、Grab のアプリを開き、目的地を入力する。観光客が行きそうな場所は、全部の文字を入力する前に候補が表示される。次に何人乗りの車かを選択。この時、すでに料金が表示されている。近くにいる車が地図上に現れ、我々の注文を引き受けた車が今どこにいて、到着まで何分かかるかが出てくる。そして、地図上でこの車が刻々近づいてくることもわかる。ドライバーの顔写真、車のナンバーもわかる。注文してから5分位で車は到着。行先がわかっているので、説明は不要。支払いは予め登録しておいたクレジットカードにチャージされるので、現地通貨を用意する必要なし。何よりもぼられるリスクが皆無なのが、旅行者にはうれしい。ホーチミン廟からの帰りは、タクシーを使ってみたが、意図的に遠回りされ料金も2倍以上とられた。

日本でも、このシステムを導入する動きがあるが、なかなか先に進まない。反対理由は、私から見ればタクシー業界の利権を守るための屁理屈としか思えぬ。タクシー業界の利権を守るのか、それとも国民や海外からの旅行者の利便性を重視するのか、政治家や行政機関がどちらを向いているのかが問われる。

(第5章へ続く)

HS

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