夏が来ると思い出す蚊帳で暮らした子供時代・・・X氏のつぶやき95

昭和二十八年頃の田舎の生活は、夏でも網戸はなく、冷房設備も無く、ひたすら自然界の冷風をたよりに暮らしていました。
夜は、八畳間にいっぱいの蚊帳を吊ってこども四人が寝転がった。
座敷き間の廊下の戸を開け放って田園から冷風を入ってくるのをたよりに、子供たちは眠った。お腹を冷やさないように腹巻きさせられて。

ハイムの皆さんも田舎で暮らした人は体験されたでしょう。田舎に疎開されていた人は、この蚊帳の経験は楽しかったでしょう。

私の田舎は四国の讃岐善通寺の田んぼの真ん中.近くには寺や神社があり豊かな森もある。川も池もある。レンゲ畑や、菜の花畑、みどりの絨毯を敷きつめたような田園風景がひろがっている。
蚊帳を吊って、戸を開けて寝ていると、部屋の明かりを頼りに、トンボやクワガタ、ほたるなどが、蚊帳の上にとまっているのです。

こどもはそれを愉しみにしていました。今思えばまるでメルヘンの世界でした。
キリギリスのチョンギースと泣く声を聞きながら、また、田んぼの青蛙のゲロゲロと鳴き、川の土管のなかや、ため池では、うし蛙の食用蛙が、オーンオーンと無くの聞きながらこどもたちは眠った。
弟は寝相が悪くて、蚊帳の裾に転がっていき、蚊帳を引き落としてしまうので子供たちは蚊にさされる。だが楽しい生活でした。

ところが昭和三十年を過ぎると農村の米農家は、米の量産をと農協から指導がはいり、稲につくどう虫の害虫の殺虫剤、農薬。また田んぼの草をとる除草剤の農薬の散布が始まった。
散布をした田んぼの近くをとおると、農薬の独特な生臭い吐き気のするような悪臭が漂ってくる。息をとめてその場をとおりすぎる。夜になると、夜の帳とともにそんな悪臭が家の中にも入ってくるようになった。

すると、たちまち蛙の鳴き声は聞こえなくなった。蛍もいなくなった。蛇もいなくなった。川には、鮒や鯉が腹をみせて浮いて流れてきた。
その魚は食べてはいかんぞ!
誰かが叫びだした。何処かの人がその魚を食べて苦しみ出したと。農薬を散布していた人が病院に担ぎこまれたと。
農薬は怖いぞ! 
だが、農家は米の増産のため農薬を使い続けた。

自然界はその農薬で一変しました。子供たちは綺麗な川で泳いでいましたが禁止!
川魚は食べては行けない。だが農薬で育った米は、私たちは食べた。
農薬で蚊帳が無くても寝られたが、こどもの遊びは制限された。田舎の生活は農薬に犯されてしまった。昭和四十年頃までか?それからも農薬は制限されたが、改良されてしばらくは使われたと思う。

今日、わが古里でも蛍が蘇ってきたと聞こえてくるが、蚊帳の生活の楽しさはなくなった。
田んぼは、県外の人が住んでいる住宅が建ち並んで田んぼが姿を消してしまった。

だが思い出は何時になっても消え失せる事も無く、今も鮮明にこのハイムにいても、昔をおいもとめるのはなぜでしょうか?
みなさんも同じでしょうか?

もう十年もすると蚊帳の話は消えてしまうかも。でも何処かの国に日本が蚊帳をおくっているとか。蚊に刺される病気がすくなくなったとか!

蚊帳の生活はスローライフの絶品かもしれませんね。かまどで炊くご飯に勝るものはないと京都の料亭では今もかまどでご飯をたいているのはわかりますが、どこかで蚊帳の部屋を用意してある旅館はありませんかね?

そんなことを考える夏のひとときでした。

・・・いなかの子 腹巻きすがたの蚊帳の中・・・

 

夏が来ると思い出す蚊帳で暮らした子供時代・・・X氏のつぶやき95” に対して4件のコメントがあります。

  1. SK より:

    蚊帳の中って、薄暗くて、秘密めいた感じでワクワクしますよね。
    そう、子供のころ楽しみな場所でした。

  2. へんこつ より:

    Xさん
    初めてのコメントです。
    これまでずっと拝読させてもらっていました。有難うございます。実は私も善通寺出身です。Xさんよりは一回り以上年下になりますが、今回のお話で急に子供の頃のことが蘇ってきました。昭和30年代半ばまではよく使われていた、あの田圃に散布したホリドールの匂い。記憶の底にしっかりと刻まれて残っていたようです。確か、散布後の田んぼには散布した印に赤い小さい旗が立ててあったのも覚えています。
    それと、蚊帳はやはり子供にとっては楽しかった。今、日本で蚊帳を使う家庭はほぼ皆無だと思いますが、ある企業はマラリア対策のため熱帯地域の国々に輸出しているのです。私は、ひょんなことから最近新品(?)の蚊帳を手に入れましたが、それは昔のように使うのではなく、蚊帳の生地を漆の乾漆(麻布を漆で固める手法)の材料として使っています。時代は変わる、ですね。

  3. つぶやきのX より:

    SKさんへ
    子供時代を思い出して有り難う!私はこの思い出が宝物のようになっています。貧しい時代の楽しい思い出です。さていまの子供たちは何が宝物になりますかね。日常生活の中で。つぶやき読んでいただき感謝です。

  4. つぶやきのX より:

    へんこつさんへ
    善通寺の方ですか!私は田舎を離れて60年もなるのに田舎の暮らしがわすれられないのです。蚊帳の生活を思い出していただいて嬉しいです。昔には帰れませんが思い出は今もいきいきよみがえります。へんこつさん また善通寺をつぶやいてみますね。コメント嬉しいです。

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