渡り鳥・シベリアに向かって・・・X氏のつぶやき111

――V字飛行の訓練が多摩川上空で

5月の末になると越冬してきていた渡り鳥がシベリアに帰る準備を始める。
私は大阪の大和川で何千羽もの渡り鳥が一か所に集まってきて揃ってシベリアに向かって飛び立つのを見ました。
体力をつけていない鳥はエサをついばんで体力をつける。集まってくる川辺には小魚がたくさんいるのだ。何羽かが上空に向かって飛んでいく。2羽、3羽と増えてV時形になって飛ぶ、体力がない鳥が最後尾で遅れがちになると、先頭を飛んでいたリーダーが最後尾に回り体力のない鳥をエスコートしてV字の仲間に入れて低空飛行を繰り返して再び着水するのです。

それと同じ光景がこの多摩川で見られる早朝5時頃、朝日は昇っている。多摩川の川下高島屋のある二子玉川辺りか。10羽くらいの渡り鳥がV字形で飛んでくる。登戸辺りにさしかかると多摩川から何羽かが飛び発ってその仲間に入ってV字形をつくって飛んでいく。まだV字についていけない鳥たちが遅れだすと、先頭のリーダーが後方に回って飛ぶ訓練をさせ、中野島の河原の水辺に着水させる。そこで体力を更につけるのだろう。
観察していると、V字形の飛行リーダーがいるのがよくわかる。
弱い鳥がいても決して置き去りにはしない。その鳥が仲間に入れるまで河原の上空で訓練をするのです。多摩川の河原はその訓練の場になっているのか。何羽もが集まってきて大きな集団になりV字飛行をやってみる。そのまま飛んでいってしまうのかと見ていると、またも戻ってきて着水、体を休めるのです。

なぜV字飛行なのか?渡り鳥は上空3000mに流れている気流に乗って更に上空へと上がり、ジェット気流のような気流にのり、アルプスを越えてシベリアの楽園に向かうのだ。
鳥たちは空気抵抗をさけて飛ぶためにV字形に飛ぶのだそうだ。そのうえで、先方に弱い鳥を入れ、最後尾には強い鳥が遅れがちな鳥に寄り添いV字形の仲間に戻してくる。
この多摩川でそれを見ることができるのです。

私はロンドンから香港に向うカンサス航空の機内放送で、ネーチャープラネット番組だったか、英国のグループがドキュメント映画にしたものを見た。凍てつくアルプスの上空を乗り切ってシベリアへと向かう渡り鳥の必死のトライの映像を見せられた。
アルプスの上空に向かう激しい気流に乗れない鳥は裾野で体を休め、再度挑戦して越えようとするが、ここまで飛んでくるのに体力を使い果たしている。だが、このアルプスの向こうにある楽園に行かないと彼らの繁殖生活はできないのだ。
V字飛行を何度も繰り返し、弱っている鳥の訓練をするのだ。そのうち、気流が彼らにとって絶好の条件となると、何千羽もの体力をつけていた仲間がそれぞれ何百羽のV字形を組んで上空へと舞い上がって行く。そして、ついにアルプスを越えていく。リーダーは最後の一羽が越えていくまで最後尾で遅れている鳥に勇気を与えているのだ。それを確かめるように旋回してアルプスを乗り越えていく。
感動的な渡り鳥のアルプス越えを見せてくれた。

ここにいる多摩川の渡り鳥もあのアルプスを越えていくのだろう。そう思うと声をかけてやりたい。みんな揃って、またここに帰ってきてね。

渡り鳥のV字飛行を見てください。だんだん仲間が増えて、気が付くと上空を何百羽もがV字で飛んでいく。リーダーの指導に従って、あのアルプスを越えるまで‼

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